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スペインのロケットに、三菱電機が2回続けて最大の金を出した——欧州の「自前で上げる」に入った日本の重電

2026.09.04 ・ 執筆:フクリ
スペインのロケットに、三菱電機が2回続けて最大の金を出した——欧州の「自前で上げる」に入った日本の重電

📌 本記事は公開情報(各社の公表資料、報道、市場データ)にもとづく情報提供・解説であり、特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。数値は特記なき限り2026年9月4日時点のものです。

欧州は「自分たちのロケットで上げる」ために、新しい打ち上げ会社を育てています。

その一社に最も大きな金を出しているのは、日本の会社です。

作る側の会社が、運ぶ側に出しました

三菱電機は人工衛星を作る会社です。 その会社が、衛星を宇宙まで運ぶ側に金を出しました。

何が発表されたのか

用語を1つ置きます。

シリーズCは、未上場の会社が投資家から資金を集める段階の呼び名です。リード投資家は、その回でいちばん大きな金額を出し、条件を決める役目を担う相手を指します。

2026年9月1日、スペインのPLD Spaceが1億800万ユーロの追加調達を発表しました。

今回の額1億800万ユーロ(およそ1億2,510万ドル)
シリーズCの合計2億8,800万ユーロ
リード三菱電機(2026年3月の初回に続き2回目)
共同投資COFIDES(スペイン政府系)、Endeavor Catalyst、スペイン・オマーン合弁のPEファンド
使い道MIURA 5の量産化、生産・試験設備、射場インフラ

⚠️ 三菱電機の出資額と出資比率は公表されていません。 本記事はリード投資家であるという事実の範囲で書いています。

PLD Spaceは何をしている会社か

2011年にスペインで創業し、累計で4億8,800万ユーロを集めてきました。MIURA 5という小型ロケットを開発中で、次の計画を掲げています。

  • 2026年中に、仏領ギアナのクールーから初の軌道試験
  • 2030年に、年30回の打ち上げ

⚠️ MIURA 5はまだ一度も飛んでいません。 初飛行はこれからです。

なぜ、欧州が新しい打ち上げ会社を育てているのか

欧州は長いあいだ、大型のアリアンと小型のベガという限られた手段しか持っていませんでした。

自国の衛星を上げたいとき、選択肢が少ないと日程も価格も相手任せになります。だから欧州は、複数の新しい打ち上げ会社を並行して育てる方向に動いています。

打ち上げの枠がどれほど窮屈かはロケットに載せる場所が足りず、衛星が平たくなりましたで扱いました。載せる場所が足りないから、衛星の形まで変わっています。

同じ週に、ドイツのHyImpulseも5,000万ユーロ超の追加調達をクローズしました。累計は1億2,500万ユーロを超えます。

打ち上げ機がまだ飛んでいないという条件は、この分野でよくある話です。 同じ論点は捕まえる相手は、17年前に日本が置いてきた3トンの残骸でも扱いました。アストロスケールが選んだドイツのロケットも、まだ軌道に届いていません。

米国では、誰の損得になるのか

この件で米国企業の名前は出てきません。 それ自体が要点です。

同じ日に、NASAが火星の通信網を米企業に発注しています——火星の通信を支えているのは2001年に上がった機体。片方は自前の手段を増やす動き、もう片方は1社に任せる動きです。

欧州が「自分たちで上げる」ために資金を投じているのは、米国の打ち上げ会社に頼らない選択肢を作るためです。ただし各社の公表資料にそう書かれているわけではなく、これはこの記事の読み方です。

そして日本の会社が、その欧州の選択肢に金を出しています。

日本では、誰の損得になるのか

三菱電機は、日本の宇宙産業で衛星を作る側の中心にいます。 通信・放送衛星や観測衛星のバス(本体部分)を手がけてきました。

その会社が、欧州の打ち上げ会社のリード投資家になっています。

日本の宇宙ベンチャーに海外の資本が入る動きは住友商事とSBIが、累計1,000万ドルの米スタートアップに出資しましたにもあります。今回は、その向きが逆です。

⚠️ 今回の出資が同社の業績に与える影響は、金額が公表されていないため計算できません。 大企業の投資として大きいのか小さいのかも、外からは分かりません。

日本の宇宙関連の株価

⚠️ 4社とも宇宙以外の事業が圧倒的に大きく、この差を宇宙事業で説明することはできません。 三菱電機は空調と産業機器、三菱重工業は発電と防衛、IHIは航空機エンジン、NECはITサービスが主力です。

関連企業と日本の接点

確度で3段に分けています。

区分企業上場この件での位置
① 今回の当事者三菱電機東証(6503)2回続けてリード投資家。出資額と比率は非公表
① 今回の当事者PLD Space未上場(スペイン)調達した側。MIURA 5は未飛行。個人は直接買えません
① 今回の当事者HyImpulse未上場(ドイツ)同じ週に別途調達。軌道機は2027年末以降。個人は直接買えません
② 日本の打ち上げ側三菱重工業東証(7011)H3の製造。国内で衛星を上げる側
② 日本の打ち上げ側IHI東証(7013)固体ロケットのイプシロン系を手がける
③ 日本の衛星側NEC東証(6701)観測衛星や探査機の実績を持つ

株価は上の図で見ています。

フクリの見方

注目すべきは金額ではなく、三菱電機が2回続けてリードを取ったことだという見立てです。

理由は1つです。1回だけなら財務的な投資でも説明がつきます。 しかし同じ会社が半年で2回、いずれも最大の出し手として条件を決める側に立ったなら、関係を作りにいっていると読むほうが自然です。

これはこの記事の見立てであり、同社が意図を説明したわけではありません。

作る側が運ぶ側に出資する意味

衛星を作る会社にとって、打ち上げの枠は自分では作れない資源です。

  • 上げてもらえなければ、作った衛星は倉庫にあります
  • 打ち上げの選択肢が増えれば、日程と価格の交渉力が上がります
  • 早い段階から関わっていれば、枠を確保しやすくなります

「運ぶ会社を自分で持つ」のではなく「運ぶ会社に持ち分を持つ」——それが今回の形です。

ただし、まだ何も飛んでいません

MIURA 5の初飛行は2026年中の予定で、まだ実現していません。 HyImpulseの軌道機に至っては2027年末〜2028年初です。

資金は集まりましたが、資金と実績は別のものです。

この見立てが外れる3つの条件

では、何を見ていればいいのか

見るものどこで何が分かるか
MIURA 5の初軌道試験PLD Spaceの発表2026年中の予定。ここが最大の関門です
三菱電機の開示有価証券報告書・決算説明資料出資額や宇宙事業の位置づけ。金額が出れば見立ての1つ目が検証できます
次のラウンドのリードPLD Spaceの発表三菱電機が続けるかどうか

3回目もリードを取るなら、この見立ては強まります。 逆に降りるなら、財務的な投資だったという話になります。

まとめ(3行)

情報源

  • PLD Space の発表(2026年9月1日・シリーズC 2億8,800万ユーロ)
  • European Spaceflight「PLD Space Adds €108 million to Series C Funding Round」
  • Payload「PLD Space, HyImpulse close major extension rounds」(2026年9月)
  • SatNews、Satellite Evolution ほかの報道
  • Yahoo Finance(株価の週次終値・2025年8月〜2026年9月4日)
免責事項

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の投資勧誘や投資助言を行うものではありません。投資にともなう最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。記載内容の正確性には努めていますが、その完全性・将来の結果を保証するものではありません。

フクリ
フクリ Fukuri編集部のナビゲーターです。海外の投資・経済ニュースを、一次情報にあたって日本の読者向けにまとめています。記事の企画・編集・公開の責任は、運営責任者が負っています。
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