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米中間選挙で三菱重工の株は上がる? 選挙では動かない。株価を動かすのは防衛株の流れ

2026.11.03 2026.11.06 更新
米中間選挙で三菱重工の株は上がる? 選挙では動かない。株価を動かすのは防衛株の流れ

📌 この記事は公開情報(三菱重工の決算資料、調査会社SemiAnalysisの分析、米国の報道、市場データ)にもとづく情報提供・解説であり、特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。数値は特記なき限り2026年11月2日時点のものです。

🔄 2026年11月4日に更新しました。 開票の結果、ジョージア州の電力の委員会の2議席は、どちらも民主党の候補が取りました(第3区は現職のピーター・ハバード氏、第5区はシーラ・エドワーズ氏)。委員会の5議席のうち3議席が民主党になり、民主党が多数を握るのは1995年以来です。テキサス州の知事選も、民主党のジーナ・ヒノホサ氏が現職のアボット氏を破りました。それでも11月4日の三菱重工の終値は3,252円で、11月2日から3.3%下げ、TOPIX連動ETFとの差は−3.3ポイントでした。予想した「普段の2倍(4.3ポイント)の内」に収まっています。電力設備の7社でも、普段の2倍を超えて動いた会社はありませんでした。

🔄 2026年11月6日に更新しました。 11月4日は普段どおりでしたが、そのあとの2日で三菱重工は大きく下げました。4日の米国では、ガスタービン大手のGEベルノバが9.3%、ドイツのシーメンス・エナジーが8.0%下げました。翌5日の東京で、三菱重工は1社だけ6.2%下げています(川崎重工−0.2%、IHI+1.4%)。TOPIX連動ETFとの差は−6.6ポイントで、普段の2倍(4.3ポイント)を超えました。この記事で「偶然と変わらない」とした、海外のガスタービン株と同じ向きの大きな動きです。6日は、前の晩に米国で半導体株の指数が12.2%下げ(ロイターは、クアルコムの決算と、民主党のもとでAIの設備への投資が遅れるとの懸念を挙げています)、日経平均が6.0%下げた日で、三菱重工は13時30分に決算を出し、終値は2,912.5円(−4.6%)で、TOPIX連動ETF(−6.3%)よりは小さい下げでした。この記事の「選挙では三菱重工は動かない」という見立ては、4日の1日だけなら当たりましたが、翌5日の下げで外れました。米国の報道は、GEベルノバの下げを大きな電力設備の規制の先行きと結びつけています。三菱重工の5日の下げを選挙と結びつけて説明した報道は、まだ見つかっていません。決算をはさむ2日(5日の終値から9日の終値まで)の結果は、9日にここへ足します。

11月3日(米国時間)、米国で中間選挙の投票があります。日本では4日の朝から開票が進みます。

三菱重工業は、AIのデータセンター向けの発電にも使われるガスタービンの大手です。米国の選挙で電力の政策が変われば、三菱重工の株も動くと考えたくなります。

選挙で三菱重工の株が上がることはない、と見ています。三菱重工の株価が大きく動くのは、川崎重工・IHIと一緒に防衛株がそろって動く日と、決算の日です。海外のガスタービン株と一緒に動いた日は、偶然と変わらない数でした。

三菱重工は、川崎重工・IHIと同じ日に同じ向きに動く

この1年で三菱重工が大きく動いた20日のうち、IHIは14日、川崎重工は12日、同じ向きに大きく動いていました。ガスタービンの同業の海外2社は、4日ずつでした。

三菱重工は、発電の設備と並んで、防衛の装備をつくる会社です。防衛装備庁との契約額は、少なくとも2021年度から毎年1位です(防衛の契約の記事)。川崎重工とIHIも、防衛と航空の大手です。

数えたのは、三菱重工がTOPIX連動ETFとの差で大きく動いた順に20日です。その日に、ほかの会社も同じ向きに、普段より大きく動いていたかを見ました。

7月6日は、三菱重工が市場より7.5ポイント上げた日です。川崎重工とIHIも5ポイント以上上げ、株探の見出しは「三菱重など防衛株が高い」でした。

ガスタービンの同業は、米国のGEベルノバと、ドイツのシーメンス・エナジーです。米国の取引は日本の前の晩に終わるので、前の晩の動きと比べました。どの会社も、普段より大きく動く日はもともと3割ほどあります。関係がなくても、20日のうち3日ほどは重なる計算です。

1年を通して見ても、3社は同じ形をしています。どれも2月から3月に高値をつけ、そこから下げました。高値からの下げは、三菱重工が35%、川崎重工が43%、IHIが49%です。

三菱重工は受注も利益も伸びているのに、株価は下げています。そのことは、9月に受注残の記事で、利益に対する株価の倍率が縮んだためと書きました。

ガスタービンの受注が1.5倍でも、株価が上げたのは発表の日だけ

4〜6月のガスタービンの受注は9,300億円で、前の年の1.5倍でした。発表の日に株価は市場より7.5ポイント上げましたが、翌日に4.4ポイント下げています。

三菱重工は8月4日の午後、取引時間中に決算を出しました。会社は、ガスタービンの受注は北米とアジアでとくに強かったと説明し、ガスタービンの通期の受注の予想を2.3兆円から2.4兆円に上げました。

4〜6月の純利益は、前の年のほぼ2倍です。それでも11月2日の終値3,363円は、この1年でいちばん安い値段でした。

決算の発表会社が出したもの株価の2日の動き(TOPIX連動ETFとの差)
2025年11月7日(4〜9月)エナジー部門の通期の受注の予想を2.2兆円から3.2兆円に上げた−5.8ポイント
2026年8月4日(4〜6月)ガスタービンの受注が9,300億円(前の年の1.5倍)。通期の予想も上げた+2.9ポイント(発表の日だけなら+7.5)

2日の動きは、発表の前の日の終値から、発表の次の日の終値までです。エナジー部門は、ガスタービンや原子力などの発電の部門です。

この2年の決算8回で、2日の動きが普段の2倍を超えたのは、2025年8月の1回だけでした。

同じガスタービンの大手でも、GEベルノバとシーメンス・エナジーの株価は、1年前より上にあります。三菱重工だけが下です。ガスタービンの商売で株価が決まっているなら、3社はもっとそろって動くはずです。

選挙で変わるのは2028年から。ジョージア州のタービン3台はもう届いている

ジョージア州では、電気料金と発電所の建設を認める委員会の2議席が争われています。民主党が両方取れば数十年ぶりに過半数になりますが、三菱重工のガスタービン3台を使う発電所は、2025年12月に承認されています。

米国の調査会社SemiAnalysisは11月1日の分析で、2027年に予定されたデータセンターの電力の約4分の3は、すでに着工していると書きました。選挙で行方が変わるのは、まだ着工していない2028年からの分です。

州の選挙のうち、データセンターの計画が多い州で注目されているのが、ジョージア州の公益事業委員会です。州の電力会社の料金や、発電所・送電網を建てるかどうかを認める機関で、委員を選挙で選びます。州で電気を売るジョージア・パワーは、米国の電力大手サザン・カンパニーの子会社です。

委員は5人で、いまは共和党が3人、民主党が2人です。民主党の2人は2025年11月の選挙で、電気料金の値上がりを争点に勝ちました。

11月3日に争われるのは、第3区(民主党の現職ハバード氏と共和党のフィッツ・ジョンソン氏)と、第5区(民主党のエドワーズ氏と共和党のトルバート氏)です。民主党の2人は、データセンターに電力の費用を払わせることを掲げ、エドワーズ氏は少なくとも1年、新しい開発を止めることを支持しています。

8月の世論調査(有権者800人)では、民主党の2人がどちらも51%対42%でリードしていました。

2025年12月19日、委員会はジョージア・パワーが5年かけて電源を約10GW足す計画を承認しました。GW(ギガワット)は100万キロワットで、原子力発電所1基がおよそ1GWです。ガス火力と蓄電池が中心で、2025年に当選した民主党の2人が就任する前に決まっています。

2025年11月4日委員会の選挙で、民主党が2議席を取る
2025年12月19日委員会が、ジョージア・パワーの約10GWの電源の計画を承認
2025年12月プラント・イェーツに、三菱重工のガスタービンの2台目が届く
2027年末まで三菱重工のガスタービン3台が動く予定
2028年ごろ基本料金の据え置きが終わり、データセンターの分の料金への影響が見え始める

計画のうち、プラント・イェーツという発電所に入るガスタービン3台は、三菱重工の発電の会社(三菱パワー)がつくっています。3台で最大140万キロワットを、2027年末までに動かす予定です。

料金もすぐには変わりません。ジョージア・パワーの基本料金は、2025年夏の決定で3年間据え置かれています。

委員会の多数派が変わって影響を受けるのは、これから出てくる2028年からの計画と、その費用を誰が払うかの決め方です。テキサス州も8月に、データセンターの電力の接続の申し込みを止めて調べ直しています(テキサスの記事)。

会社上場この記事での位置
三菱重工業東証プライム(7011)防衛装備庁との契約額が、少なくとも2021年度から毎年1位。ガスタービン3台をジョージア・パワーのプラント・イェーツに納める。11月6日に4〜9月の決算
川崎重工業東証プライム(7012)防衛と航空の大手。この1年、三菱重工と同じ日に同じ向きに動くことが多かった
IHI東証プライム(7013)航空エンジンと防衛の大手。この1年、三菱重工と同じ向きに動いた日がいちばん多かった
GEベルノバニューヨーク証券取引所(GEV)米国のガスタービンの大手。日本の取引所には上場していません
シーメンス・エナジーフランクフルト証券取引所(ENR)ドイツのガスタービンの大手。日本の取引所には上場していません
サザン・カンパニーニューヨーク証券取引所(SO)ジョージア・パワーの親会社。日本の取引所には上場していません

次は11月4日の開票、6日の決算、12月の防衛の予算案

11月4日の開票のあとは、6日に三菱重工の4〜9月の決算、12月下旬に2027年度の防衛の予算案が続きます。

11月4水
開票山場

ジョージア州の委員会の2議席と、各州の知事選

日本時間の朝から。三菱重工が動くなら、川崎重工・IHIも同じ向きか

11月6金
決算

三菱重工の4〜9月の決算

ガスタービンの受注。去年の4〜9月は1兆4,387億円

12月下旬見込み
予算

2027年度の防衛の予算案

新しい契約の額が、2024年度の9兆3,625億円を超えるか

2027年1月見込み
就任

ジョージア州の新しい委員の就任

民主党が過半数なら、次の審査から多数派が変わる

2028年ごろ予定
料金

ジョージア・パワーの基本料金の据え置きが終わる

データセンターの分の料金への影響が見え始める

11月6日の決算で見るのは、4〜9月のガスタービンの受注です。4〜6月だけで9,300億円まで積み上がっています。

12月の予算案は、防衛の契約の記事で、防衛株の次の分かれ目と書いた日です。防衛の新しい契約の額は、2024年度を天井に2年続けて減っています。

予想:11月4日、三菱重工は普段どおり

11月4日、三菱重工のTOPIX連動ETFとの差は、普段の2倍(4.3ポイント)の内に収まると見ています。

前の2回の選挙の翌日、三菱重工はどちらも普段の振れ幅の内で下げました。2025年11月5日は、ジョージア州で民主党が2議席を取った翌日です。

データセンターの電力にかかわる日本の大手7社で見ても、14件のうち普段の2倍を超えたのは2件でした。そのうち古河電工(2022年)は、前の日が決算です。7社は、発電・送電の設備をつくる日立・三菱重工・三菱電機・富士電機と、電線のフジクラ・住友電工・古河電工です。

11月4日も、7社のうち普段の2倍を超えて動くのは1社以下と見ています。電線の3社は、前の晩の米国の光部品株につられて動きやすい会社です(電線株の記事)。

三菱重工が2倍を超えて動いたときは、川崎重工とIHIを見ます。2社も同じ向きなら防衛株の流れで、三菱重工だけが動いたなら、選挙が効いたことになります。そのときは、この予想は外れです。

で、儲かるのか

この記事の答え

米中間選挙で、三菱重工の株は上がりません。株価が大きく動くのは、川崎重工・IHIと一緒に防衛株がそろって動く日と、決算の日です

ジョージア州で民主党が委員会の過半数を取れば、2028年からのデータセンターの計画の審査は厳しくなりやすいです。それでも、三菱重工のタービン3台は承認も納入も済んでいます。株価は、この1年で大きく動いた20日のうち、IHIと14日、川崎重工と12日、同じ向きに大きく動きました。海外のガスタービンの2社とは4日ずつで、偶然と変わりません。ガスタービンの受注が1.5倍になった8月の決算でも、上げは翌日に半分以上戻りました。見るのは開票の夜ではなく、11月6日の決算の受注と、12月の防衛の予算案です。

11月4日の開票

米中間選挙

→三菱重工は
普段どおり
大きく動く日①

防衛株がそろう日

↕IHIと14日
川崎重工と12日
大きく動く日②

決算の日

↕8月4日は
発表の日に+7.5

情報源

  • 三菱重工業「Q1 FY2026 Financial Results Presentation」(2026年8月4日)=5ページ(受注2兆224億円・純利益1,346億円=前年同期比97%増)、11ページ(ガスタービン〔GTCC〕の4〜6月の受注9,300億円・前年同期6,025億円、北米とアジアで強い)、18ページ(ガスタービンの通期の受注の予想2.4兆円・従来2.3兆円)
  • 三菱重工業「1H FY2025 Financial Results Presentation」(2025年11月7日)=13ページ(ガスタービンの4〜9月の受注1兆4,387億円、エナジー部門の通期の受注の予想3.2兆円・従来2.2兆円)
  • 株探:三菱重工の決算ページ(決算の発表日)、銘柄ニュース(2026年7月6日「三菱重など防衛株が高い、AI半導体株高一服でリターンリバーサルの動き」、8月4日「三菱重がプラスに転じる、GTCCなど好調で第1四半期は大幅増収増益」)
  • SemiAnalysis「The Datacenter Backlash Goes Bipartisan」(2026年11月1日)=2027年に予定されたデータセンターの電力の約4分の3が着工済み
  • Bisnow「Georgia’s Utility Board Race Could Reshape Nearly 20 GW Pipeline Of Data Centers」(2026年10月28日)=2議席の候補と主張、8月のGBAO Strategiesの世論調査
  • Ballotpedia「Partisan control of Georgia Public Service Commission at stake in November election」(2026年8月10日)
  • The Atlanta Journal-Constitution「What Georgia Democrats’ PSC wins will and won’t mean for your power bills」(2025年11月6日)=就任日、基本料金の3年の据え置き、2028年ごろの料金への影響
  • Industrial Info「Second Gas Turbine Delivered to Support Georgia Power’s New Generation Capacity」(2025年12月22日)=三菱パワーのガスタービン3台(プラント・イェーツ8〜10号機・最大1,400MW・2027年末までに稼働)、約10GWの承認
  • 防衛の新しい契約の額と防衛装備庁との契約額の順位:防衛の契約の記事の情報源(財務省・防衛装備庁)
  • 株価:Yahoo Financeの日々の終値。普段の振れ幅=TOPIX連動ETF(1308)との差の標準偏差(選挙の翌日はその日より前の250営業日、大きく動いた20日は2025年11月5日〜2026年11月2日)。米国株はS&P500、ドイツ株はSTOXX欧州600との差
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