調査

ビジネスブレイン太田昭和の株は上がる? GSX株の売却で配当は約1.8倍の計算、上げるのは配当予想を直す日

2026.11.04
ビジネスブレイン太田昭和の株は上がる? GSX株の売却で配当は約1.8倍の計算、上げるのは配当予想を直す日

📌 この記事は公開情報(ビジネスブレイン太田昭和・グローバルセキュリティエキスパート・アクセンチュアの適時開示、決算短信、市場データ)にもとづく情報提供・解説であり、特定の銘柄の売買や公開買付けへの応募を勧めるものではありません。数値は特記なき限り2026年11月2日時点のものです。

米国のコンサルティング大手アクセンチュアの日本法人は10月30日、サイバーセキュリティのグローバルセキュリティエキスパート(GSX、4417)を、1株8,500円のTOB(株式の公開買い付け)で買うと発表しました。

GSXの株の約4割を持つ筆頭株主は、企業の経理や人事の仕事を請け負うビジネスブレイン太田昭和(9658)です。この株はTOBには応じず、2027年3月にGSXへ売り戻して、約350億円を受け取る予定です。株価は11月2日に14.6%上がりましたが、会社の配当の予想は1株47円のままです。

配当は、会社が決めている「株主資本の5%を配当に回す」決まりどおりなら、1株83円前後と今の予想の約1.8倍になる計算です。株価が大きく動くのは、会社が配当の予想を引き上げる日だと見ています。前回、この決まりに変えて配当を増やすと発表した次の取引日は、市場より17.4ポイント上げました。

来年3月に入る約350億円は、時価総額とほぼ同じ

ビジネスブレイン太田昭和は、GSX株を600万6,000株持っています。2027年3月に1株5,835円でGSXに売り、350億4,500万円を受け取る予定です。6月末の現金114億円と合わせると464億円で、自社株を除いた時価総額489億円とほぼ同じです。

アクセンチュアがTOBで買うのは、ビジネスブレイン太田昭和と、2位の株主の兼松エレクトロニクス(20.27%)が持つ株以外のすべてです。2社はTOBに応じないと約束しています。TOBのあと、残った株主から株を買い取る手続き(スクイーズアウト)を経て、GSXが2社の株を自社の株として買い取ります。

TOBの値段は8,500円なのに、ビジネスブレイン太田昭和が受け取るのは1株5,835円です。会社に自社株として買い取ってもらうと、受け取るお金の大半は「配当」とみなされます。株の3分の1を超えて持つ会社が受け取る配当には、ほとんど税金がかかりません。そこで、8,500円でTOBに応じて税金を払ったあとと手取りが同じになるように、値段が決められています。

この売却で、ビジネスブレイン太田昭和は170億5,400万円の売却益を計上します。税金の効果も合わせると、純利益は222億5,500万円増える見込みです。今期の純利益の予想28億4,800万円の約8倍にあたります。ただ、取引の時期がまだ決まっていないとして、業績の予想は直していません。

時価総額から現金と売却代金を引くと、残りは24億円ほどです。本業の今期の事業利益の予想は34億円なので、今の株価では、本業にほとんど値段が付いていない計算になります。会社はこのお金を、合併・買収などの成長投資に優先して使うとしています。追加の株主還元は「選択肢の一つ」という書き方です。

会社上場この記事での位置
ビジネスブレイン太田昭和東証プライム(9658)GSX株の39.57%を持つ筆頭株主。TOBに応じず、2027年3月にGSXへ売る
グローバルセキュリティエキスパート(GSX)東証グロース(4417)TOBを受ける側。上場はやめる予定
アクセンチュア米ニューヨーク証券取引所(ACN)TOBをかける側(日本法人)。日本の取引所には上場していない
兼松エレクトロニクス上場していないGSX株の20.27%を持つ2位の株主。兼松(8020)の完全子会社

GSXは、10月に株価が急に上がったセキュリティ株の1社でした(セキュリティ株の記事で15社を比べています)。GSXの今期の純利益の予想は約20億円で、ビジネスブレイン太田昭和の取り分は年8億円ほどです。株を売れば、この分の利益はなくなります。

配当の決まりどおりなら、1株83円前後

ビジネスブレイン太田昭和は、毎年の配当を「株主資本の5%」と決めています。GSX株の売却で株主資本は約317億円から約540億円に増えるので、決まりどおりなら1株の配当は83円前後になります。

株主資本は、株主が出したお金と、会社がこれまでに貯めてきた利益の合計です。その何%を毎年配当として払うかで配当を決めるやり方を、DOE(株主資本配当率)といいます。利益が一時的に減っても、配当が減りにくいのが特徴です(配当利回りの考え方は配当金と配当利回りの記事にあります)。

ビジネスブレイン太田昭和がこの決まりにしたのは、2025年10月31日です。それまでは「一時的な損益を除いた純利益の40%」でした。変えた理由として、会社は、安定した配当を求める声と、「一時的な損益項目を除く」のは分かりにくいという指摘、それにGSXの上場で自己資本が大きく増えたことを挙げています。一度きりの利益も配当の元に入る決まりに、自分で切り替えたことになります。

2026年3月末の株主資本は、計算式どおり「その他の資本の構成要素」2.7億円を引くと304.4億円です。これに今期の利益の予想28.5億円と、売却で増える222.6億円を足し、今期に払う配当15.6億円を引くと539.9億円になります。その5%は27.0億円で、株数3,246万株で割ると1株83.2円です。

どの時点の株主資本で計算するかは、決まりには書かれていません。ただ、2026年3月期の配当の総額15.7億円は、その期末の株主資本の5.2%で、期末に2円上乗せして決めています。今期の予想47円は、期首の株主資本のちょうど5.0%です。最後に期末の株主資本で決めるやり方なら、2027年3月期の期末配当から増えます。売却益は一度きりですが、株主資本は配当や自社株買いで外に出さない限り残ります。決まりを変えなければ、翌年以降も配当の元は大きいままです。

買収にお金を使っても、株主資本は減りません。自社株買いに使えば株主資本は減りますが、株数も減ります。1株あたりの株主資本(約1,660円)が株価より高いので、1株の配当はほぼ同じか、少し増えます。

83円は、11月2日の終値で利回り5.5%です。今の予想の47円なら3.1%です。

配当の決まりを変えて増配した10件は、全部上げた

ビジネスブレイン太田昭和が配当の決まりを変えて年間の配当を5割増やした次の取引日、株価は市場より17.4ポイント上げました。普段の振れ幅の11倍です。ほかの会社も含め、配当の決まりを変えて増配した10件は、すべてその日に上げています。

2025年10月31日の引けのあと、ビジネスブレイン太田昭和は年間の配当の予想を89円から133円に引き上げました(分割前の値)。次の取引日の11月4日、株価はTOPIX連動ETF(1308)より17.4ポイント上げ、5営業日たっても15.9ポイント上のままでした。

普段の振れ幅は、その日より前の1年間に、株価が市場と比べて1日にどれくらい動いていたかのばらつきです。その2倍を超えた日は、この1年で8日です。GSXのTOBが発表されたあとの11月2日も、15.3ポイント(普段の7.9倍)上げました。

配当の決まりを変えて増配した10件は、すべてが発表の次の取引日(場中の発表はその日)に上げ、9件は普段の振れ幅の2倍を超えました。上げ幅の平均は10.2ポイントです。

ただし、10件のうち7件は決算と同じ日時の発表で、決算の中身の影響も混ざっています。決算と別の日に出した3件では、2倍を超えたのはビジネスブレイン太田昭和とオエノンホールディングスでした。フィックスターズは+2.8ポイントで、普段の振れ幅の内です。業種でみると、情報・通信業はビジネスブレイン太田昭和とフィックスターズの2件だけで、上げ幅は17.4と2.8と開いています。

次は11月13日の決算と、12月16日のTOBの結果

まず見るのは11月13日の中間決算で、配当の予想を直すかです。会社は「業績への影響が見通せる状況となった時点で、速やかに業績予想の修正を行う」としています。TOBの結果は12月16日に出ます。

11月13金
決算山場

ビジネスブレイン太田昭和の中間決算

配当の予想と業績の予想を直すか。350億円の使い道の説明

12月16水
TOB

GSXのTOBの結果

期限は12月15日。成立すれば、残りの株を買い取る手続きへ進む

2027年2月中旬前年12日
決算

第3四半期の決算

それまでに直していなければ、次に配当の予想を直す機会

2027年3月中予定
売却

GSXが自社株として買い取る

350億円を受け取る。4月以降にずれると、売却益は2028年3月期に入る

2027年5月中旬前年14日
決算

本決算と期末配当の決定

2027年3月期の期末配当の額が決まる

GSXのTOBが成立する条件は、応募が98万3,100株(6.48%)以上集まることです。GSXの株価は11月2日の終値で8,470円で、TOBの値段との差は30円しかありません。このTOBには上限がないので、応じた株はすべて8,500円で買ってもらえます(上限のあるTOBの例はムラキの記事にあります)。

2027年3月期の期末配当を受け取るには、3月末の権利付最終日に株を持っている必要があります(権利が落ちたあとの値動きは証券株の記事で数えました)。

予想:配当予想を引き上げる日に、普段の2倍を超えて上げる

ビジネスブレイン太田昭和が配当の予想を引き上げると発表した次の取引日に、株価はTOPIX連動ETFより、普段の振れ幅の2倍(約4.3ポイント)を超えて上げると見ています。

本命

配当の予想を80円台に上げる

↑普段の2倍を
超えて上げる
上に外れる

配当と別に大きな自社株買いも出す

↑もっと大きく
上げる
下に外れる

売却益を配当の元から外す

↓上げは小さいか
下げる

売却益の見込みは10月30日に出ていますが、配当の予想は47円のままです。売却益の大きさを伝えた報道はありますが、11月4日の時点で、配当の計算に触れたものは見当たりません。前回と同じように、配当の予想の数字が出た日に動くと見ています。

外れるのは、配当の予想を直す前に、株価が先に上がってしまう場合です。そのときは、発表の日の上げが普段の2倍に届かないこともあります。今の普段の振れ幅は1日2.1ポイントで、11月2日の大きな上げも入っています。

で、儲かるのか

この記事の答え

ビジネスブレイン太田昭和の株を「売却益170億円の一度きりの話」として見ません。配当の決まりどおりなら、配当は今の予想の約1.8倍の83円前後になり、翌年以降も配当の元は大きいまま残ります。株価が大きく動くのは、会社が配当の予想を引き上げる日だと見ています

2027年3月に入る約350億円は、手元の現金と合わせると時価総額とほぼ同じです。会社は2025年に、一度きりの利益も配当の元に入る決まりに自分で変え、その日の株価は市場より17.4ポイント上げました。ただし配当の予想はまだ47円のままで、83円前後は決まりからの計算であって、会社の約束ではありません。見るのは11月13日の決算と、12月16日のTOBの結果のあとの業績予想の修正です。

入るお金

2027年3月にGSXから

=約350億円
配当の計算

株主資本の5%

→47円から
83円前後
動く日

配当の予想を直す日

↑前回は
+17.4ポイント

情報源

  • アクセンチュア「グローバルセキュリティエキスパート株式会社(証券コード:4417)の株券等に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」(2026年10月30日)=1株8,500円、期間11月2日〜12月15日(30営業日)、下限98万3,100株(6.48%)・上限なし、ビジネスブレイン太田昭和(600万6,000株・39.57%)・兼松エレクトロニクス(307万6,000株・20.27%)との不応募契約、スクイーズアウトのあとの自己株式取得
  • グローバルセキュリティエキスパート「アクセンチュア株式会社による当社株券等に対する公開買付けに関する賛同の意見表明及び応募推奨のお知らせ」「2027年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)」(2026年10月30日)=通期の純利益の予想19億9,800万円
  • ビジネスブレイン太田昭和「持分法適用会社(グローバルセキュリティエキスパート株式会社)に対する公開買付に係る契約締結及び持分法適用関連会社の異動(予定)並びに持分法で会計処理されている投資の売却に伴う利益の計上見込みに関するお知らせ」(2026年10月30日)=自己株式取得価格5,835円・譲渡予定総額350億4,501万円、自己株式取得は2027年3月中(予定)、売却益170億5,400万円、親会社株主に帰属する当期純利益222億5,500万円の増加の見込み、資金の活用方針
  • ビジネスブレイン太田昭和「配当方針の変更及び、剰余金の配当(中間配当)の決定並びに、2026年3月期配当予想の修正に関するお知らせ」(2025年10月31日)=DOE 5%への変更とその理由、年間89円→133円(分割前)
  • ビジネスブレイン太田昭和「2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)」「剰余金の配当(増配)に関するお知らせ」(2026年5月14日)、「2027年3月期 第1四半期決算短信〔IFRS〕(連結)」「業績予想の修正に関するお知らせ」(2026年8月13日)=親会社の所有者に帰属する持分、現金及び現金同等物、配当の予想47円、通期の予想
  • 前例10件:各社の配当方針の変更と増配の適時開示(青山商事2024年11月12日、ジャフコ グループ2025年4月23日、ビジネスブレイン太田昭和2025年10月31日、フィックスターズ2025年12月3日、協和キリン2026年2月9日、日産東京販売ホールディングス2026年2月13日、SANKYO2026年8月6日、オエノンホールディングス2026年10月29日、三和ホールディングス・日本特殊陶業2026年10月30日)
  • 株探「ビジ太田昭は新値追い、Gセキュリ株式売却益を170億円超計上する見通しに」(2026年11月2日)
  • 東京証券取引所「上場廃止等の決定:兼松エレクトロニクス」(2023年3月31日・上場廃止日は2023年5月2日)
  • 株価:Yahoo Financeの日々の終値(2026年4月1日の1株を3株にする分割を調整済み)。普段の振れ幅は、出来事の前の250営業日の、TOPIX連動ETF(1308)との1日の差の標準偏差
免責事項

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の投資勧誘や投資助言を行うものではありません。投資にともなう最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。記載内容の正確性には努めていますが、その完全性・将来の結果を保証するものではありません。

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フクリ Fukuri編集部のナビゲーターです。海外の投資・経済ニュースを、一次情報にあたって日本の読者向けにまとめています。記事の企画・編集・公開の責任は、運営責任者が負っています。
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