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「リスクとリターン」を世界一やさしく解説──“危険”じゃなくて“振れ幅”の話

2026.06.22 ・ 執筆:フクリ 2026.07.29 更新
「リスクとリターン」を世界一やさしく解説──“危険”じゃなくて“振れ幅”の話

投資の話で必ず出てくる「リスク」。実はこれ、危険という意味ではありません。そして「分散するとリスクが下がる」というのも、気休めの話ではありません。この記事では、公的年金を運用するGPIFが公表している数字を使って、分散でリスクがどれだけ下がるのかを実際の数値で見ていきます。

投資の「リスク」=“振れ幅”のこと

日常で「リスク」は”危険”の意味で使いますが、投資の世界では少し違います。リスク=リターン(結果)の”振れ幅”の大きさを指します。

  • リスクが大きい=大きく上がることも、大きく下がることもある(振れ幅が大きい)
  • リスクが小さい=上下の幅がおだやか

💡 たとえ話:ジェットコースター(リスク大)と、観覧車(リスク小)の違い。コースターは爽快な急上昇もあれば急降下もある。観覧車はゆっくり、上下もおだやか。どちらが”危険”かではなく、“揺れの大きさ”が違うのです。

専門的には、この振れ幅を標準偏差という数字で表します。「リスク19%」と書かれていたら、平均から上下19%くらいは普通に振れるという意味です。

リスクとリターンは「セット」

ここが投資の大原則。大きいリターンを狙うほど、リスク(振れ幅)も大きくなる。この2つは切り離せません。

だから「ローリスク・ハイリターン」をうたう話には要注意。そんな”うまい話”は基本的に存在しません投資詐欺の見分け方の典型的な誘い文句です)。

分散の効果を、数字で見てみる

「分散するとリスクが下がる」——よく聞きますが、どれくらい下がるのかを数字で見たことがある人は少ないはずです。

公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、運用計画の前提として各資産の期待リターンとリスクを公表しています。2025年4月から適用されている基本ポートフォリオでは、次の数字が使われています。

分散すると、リターンをあまり落とさずにリスクが下がる
日本株式単独と4資産分散のリスク・リターン比較 期待リターン リスク(振れ幅) 日本株式だけ 4.8% 約19% 4資産に25%ずつ 約4.0% 12.32% リターンの差はわずか0.8ポイント。一方でリスクは6.7ポイント下がる 4資産=国内債券・外国債券・国内株式・外国株式を25%ずつ リスク12.32%とは、1年のリターンが約95%の確率で 「4% ± 24.64%」の範囲に収まるという意味 出典:GPIF「基本ポートフォリオの考え方」(2025年4月適用)。将来を保証するものではありません
日本株式だけならリスク約19%。4資産に分けるとリターンは4.8%→約4.0%とわずかに下がるだけで、リスクは12.32%まで下がる。⚠️この図はGPIFの運用前提であり、個人の投資成果を示すものではありません。

注目してほしいのは、下がり方の非対称さです。

  • 期待リターン:4.8% → 約4.0%(0.8ポイントしか減らない)
  • リスク:約19% → 12.32%6.7ポイントも減る)

リターンをほとんど手放さずに、振れ幅だけを大きく減らせています。これが分散の効果です。値動きの違うものを組み合わせると、片方が下がったときにもう片方が支えるため、全体の揺れがならされます。

⚠️ ただし数字の意味は正確に読んでください。リスク12.32%は「12%までしか下がらない」という意味ではありません。「4% ± 24.64%」の範囲に約95%の確率で収まるという前提であって、残りの5%はその外側です。実際、リーマン・ショックのような局面では、この範囲を超えて下がりました(株価暴落はどうする?)。

分散の3つの方向

分散といっても、方向が3つあります。

分ける軸具体例何を防ぐか
資産の分散株式・債券・不動産(REITひとつの資産が崩れたときの打撃
地域の分散日本・米国・その他先進国・新興国特定の国の景気や政策の影響
時間の分散毎月コツコツ買う(ドルコスト平均法高値づかみ

GPIFの基本ポートフォリオは、上の2つ(資産と地域)を組み合わせたものです。個人が同じことをしたいなら、全世界株・S&P500のような広く分散したインデックス投資が近い形になります。

「1年でいくら減りうるか」を自分の金額で計算する

リスクの数字は、%のままだとピンときません。自分の金額に置き換えると、急に実感がわきます。

やり方は簡単です。投資額にリスクの割合をかけると、1年でよくある振れ幅のおおよそが出ます。さらにその2倍が、めったにないけれど起こりうる範囲です。

投資額リスク12.32%(4資産分散)の場合リスク19%(日本株だけ)の場合
100万円よくある振れ幅 約±12万円/大きめの年で約±25万円約±19万円/大きめの年で約±38万円
300万円約±37万円/大きめの年で約±74万円約±57万円/大きめの年で約±114万円
500万円約±62万円/大きめの年で約±123万円約±95万円/大きめの年で約±190万円

⚠️ これは期待リターンを差し引かない、振れ幅だけの目安です。厳密な計算ではありませんが、桁感をつかむには十分です。

この表を見て「500万円が1年で190万円減るのは無理だ」と感じたなら、それが答えです。株の比率を下げるか、投資額を減らす。無理な配分は続きません。そして投資でいちばん効くのは、続けることです。

自分に合うリスクの取り方

  • 使う時期が遠いお金(老後資金など)は、長期前提でリスクを取りやすい
  • 近いうちに使うお金は、リスクを抑えて現金や安全資産で
  • 大事なのは、夜よく眠れる範囲でリスクを取ること。下落で怖くなって投げ売りするのが、いちばんもったいないパターンです

フクリの見方

編集部の立場を書きます。「リスクを取りたくない」という言い方は、実は選択になっていません。

理由は、リスクが「振れ幅」だからです。振れ幅をゼロにするということは、上に振れる可能性も捨てるということ。そして現金で置いても、物価が上がれば実質的な価値は減ります振れないことと、減らないことは別です。

そのうえで、編集部の見方は3点です。

  • リスクを「どれくらい取るか」で考える。取るか取らないかの二択ではありません
  • 分散は”気休め”ではなく、数字で効く。GPIFの前提では、リターンを0.8ポイント手放すだけでリスクが6.7ポイント下がります。これほど割のいい調整はほかにありません
  • 自分が耐えられる下落幅から逆算する。「1年で3割下がっても続けられるか」を自問して、無理なら株の比率を下げる。続けられる配分が、いちばん強い配分です

この見方が外れるとしたら、資産どうしの値動きが一斉に同じ方向を向いたときです。実際、市場が大きく崩れる局面では、株も債券も同時に下がることがあります。分散はリスクを減らしますが、消しはしません。

まとめ(3行)

  • 投資の「リスク」は危険ではなく、結果の振れ幅(標準偏差)のこと。
  • 分散は数字で効く。GPIFの前提では、日本株単独のリスク約19%が、4資産に分けると12.32%へ。リターンは0.8ポイントしか落ちない。
  • ただしリスクは消えない。「95%の確率で収まる」の外側もある。眠れる範囲で取ろう。

情報源・参考

免責事項

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の投資勧誘や投資助言を行うものではありません。投資にともなう最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。記載内容の正確性には努めていますが、その完全性・将来の結果を保証するものではありません。

フクリ
フクリ Fukuri編集部のナビゲーターです。海外の投資・経済ニュースを、一次情報にあたって日本の読者向けにまとめています。記事の企画・編集・公開の責任は、運営責任者が負っています。
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