公募増資を発表した株は受渡日のあとも戻らなかった 2026年の公募増資・売出52件と、IPS・HENNGE・インフロニアの日程

📌 この記事は公開情報(各社の適時開示、ipokiso.comの公募増資・売出の一覧、市場データ)にもとづく情報提供・解説であり、特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。数値は特記なき限り2026年10月6日時点のものです。
🔄 2026年10月12日に追記しました。 前例を業種で分け直すと、受渡日のあとの動きがメーカーとそれ以外で分かれました。ソディックと同じ「メーカーの売出」は、受渡日のあとに戻すことが多い形でした。 業種別の図と段落を足し、結論の欄を業種別に書き直しています。
公募増資を発表して下げた株は、価格が決まれば戻るのでしょうか。
2026年の前例では、公募増資の株は価格が決まったあとも受渡日まで下げ、受渡日を過ぎても多くは戻りませんでした。価格の決定を待っている3社も、少なくとも受渡日を過ぎるまでは「下げたから買い場」と決めにくい場面です。
公募増資の12件中9件は、受渡日の20営業日後も市場に負けていた
2026年に発表され、受渡日から20営業日が過ぎた公募増資は12件ありました。受渡日の20営業日後には、発表日の終値から数えて真ん中の値で−20.7ポイントと、TOPIX連動ETFを下回っていました。
公募増資は、会社が新しい株を出してお金を集めることです。株の数が増えるので、1株あたりの利益は薄まります。発表から株が渡るまでは、次の順に進みます。
- 発表日:多くは取引が終わったあとに発表される
- 価格の決定日:買う人に渡す価格が決まる。発表の1〜3週間後
- 受渡日:買った人に株が渡り、市場で売れるようになる。価格の決定日の数営業日後
株価の動きは、東証の株全体の動きに合わせて動く投資信託(TOPIX連動ETF)と比べた差(ポイント)で数えました。たとえば、ある株が5%下げ、TOPIX連動ETFが1%上げた日は−6ポイントです。「真ん中の値」は、件数を動きの順に並べたときに真ん中に来る値です。
12件のうち、受渡日の20営業日後に市場を上回っていたのは3件だけでした。発表の翌日の下げで終わらず、そのあとも下げが続いた例が多かったことになります。
| 会社(コード) | 発表日 | 新しく出す株の割合 | 翌日 | 受渡日 | 受渡日の20営業日後 |
|---|---|---|---|---|---|
| セグエグループ(3968) | 1月23日 | 18.45% | −9.8 | −20.0 | −20.3 |
| 松屋フーズホールディングス(9887) | 2月16日 | 8.45% | −7.4 | −12.5 | −9.2 |
| 日本ヒューム(5262) | 2月25日 | 8.52% | −4.6 | −14.3 | −23.1 |
| 日本電子材料(6855) | 2月25日 | 15.79% | −16.0 | −28.7 | −30.8 |
| シークス(7613) | 3月9日 | 10.02% | −4.9 | −5.2 | +2.3 |
| ユニオンツール(6278) | 4月6日 | 38.26% | −5.9 | +11.5 | +42.6 |
| 住友ファーマ(4506) | 4月8日 | 14.83% | −1.1 | −8.1 | −28.3 |
| ホットランドホールディングス(3196) | 4月9日 | 22.00% | −12.4 | −22.5 | −26.4 |
| GMOインターネット(4784) | 4月10日 | 38.31% | −0.9 | −18.2 | −35.5 |
| マルマエ(6264) | 5月8日 | 15.86% | −8.8 | −9.0 | +4.5 |
| リアルゲイト(5532) | 5月15日 | 7.36% | +2.6 | +4.8 | −2.1 |
| バローホールディングス(9956) | 6月30日 | 10.00% | −14.7 | −17.1 | −21.0 |
数字はすべて、発表日の終値から数えたTOPIX連動ETFとの差(ポイント)です。
翌日の次に下げがそろうのは、価格の決定日から受渡日まで
区間に分けると、発表の翌日の次に下げがそろっていたのは、価格の決定日から受渡日までの数日でした。新しい株を出さない「売出」は、公募より下げが小さめでした。
| 区間 | 公募 | 売出 |
|---|---|---|
| 発表日→翌日 | 中央値−7.7(下げ16件中15件) | 中央値−2.8(下げ36件中30件) |
| 翌日→価格の決定日 | 中央値−1.5(下げ13件中8件) | 中央値−1.0(下げ34件中19件) |
| 価格の決定日→受渡日 | 中央値−4.5(下げ13件中11件) | 中央値−1.9(下げ33件中22件) |
| 受渡日→20営業日後 | 中央値−3.0(下げ12件中8件) | 中央値−0.5(下げ26件中14件) |
売出は、大株主や政策保有株を持つ会社などが、すでにある株を売り出すものです。株の数は増えないので、1株あたりの利益は薄まりません。それでも、発表日の終値から受渡日までに真ん中の値で−6.2ポイント下げていました。
業種で分けると、受渡日のあとの動きが分かれました。メーカーの売出は、受渡日のあとに半分以上が市場より上げ、発表日から通すとほぼ元の水準に戻していました。
受渡日までは、メーカーの株も下げていました。違いが出たのは受渡日のあとです。メーカー以外の会社は、公募でも売出でも、受渡日のあとも市場より下げる株のほうが多くなりました。
同じ業種の大きな会社の株価指数(TOPIX-17業種別のETF)と比べても、メーカーの売出は半分以上が上げで、向きは変わりませんでした。どの組も件数が少ないので、幅をもって見る必要があります。
前例の幅を当てはめると、3社はまだ道のりの途中
価格の決定を待っている公募の3社は、前例で下げがそろった区間をまだ通っていません。
公募の前例では、価格の決定日に真ん中の値で−9.7、受渡日に−13.4ポイントでした。真ん中の半分は、受渡日で−18.7〜−7.4ポイントの幅にありました。
10月6日の時点で、インフロニアは発表日から市場より−16.3ポイント、アイ・ピー・エスは−10.5ポイントです。HENNGEは10月6日に7.4%上げ、−0.4ポイントまで戻しています。この日は、株探が「サイバーセキュリティー関連が軒並み急騰」と伝えた日でした。
ソディックはメーカーの売出です。前例のメーカーの売出は、受渡日までは下げ、受渡日のあとに戻すことが多い形でした。公募の3社とは、受渡日のあとの見方を分けます。
前例は2026年1〜10月の分で、受渡日まで進んだ公募は13件、20営業日後まで進んだのは12件です。件数が少ないので幅は大きく、ユニオンツールのように発表のあと大きく上げた例もあります。
関連企業と日本の接点
いま価格の決定を待っている公募増資は、インフロニア、アイ・ピー・エス、HENNGEの3社です。同じ時期に、ソディックが売出を発表しています。
| 会社(市場:コード) | 新しく出す株の割合 | 集めたお金の使い道 | 株価(10月6日) |
|---|---|---|---|
| インフロニア・ホールディングス(東証プライム:5076) | 公募 20.01% | 手取り約1,472億円のうち1,170億円を、アルソシア建設(旧・三井住友建設)と水ingの買収の借入金の返済に | 2,318.5円 |
| アイ・ピー・エス(東証プライム:4390) | 公募 11.08% | 手取り約55億円を、和歌山の国際海底ケーブルの陸揚げの拠点の計画に | 3,585円 |
| HENNGE(東証グロース:4475) | 公募 8.78% | 手取り約24億円を広告と採用に。同じ日にプライム市場への移行の承認を発表 | 1,794円 |
| ソディック(東証プライム:6143) | 売出 11.98%(新しい株は出さない) | 政策保有株を減らすための売出。同時に自社株買い(上限240万株か30億円) | 1,752円 |
アイ・ピー・エスは、日本とフィリピンなどを結ぶ新しい国際海底ケーブル「Candle」の計画に参加している会社です。8月には、その一部の使用権を約160億円で提供する契約を結んでいます。
株価の差を、増資だけで説明することはできません。HENNGEは、プライム市場への移行の承認と増配も同じ日に発表しています。
次の山場は10月13〜14日の価格の決定
次の節目は、各社の価格の決定日と受渡日です。前例では、価格の決定日から受渡日までの数日で、公募の株がそろって下げていました。
で、儲かるのか
受渡日までは下げる。そのあと戻すのはメーカーの売出
2026年の前例では、どの業種も受渡日まで市場より下げた。受渡日のあと、メーカー以外の公募は戻らず、メーカーの売出は戻すことが多かった。
4社とも、価格の決定日から受渡日(10月20〜28日)まで
↓市場より下げる
インフロニア・IPS・HENNGE(メーカー以外の公募)
↓戻りにくい
ソディック(メーカーの売出)
↑戻しやすい
情報源
- PO(公募増資・売出)の一覧:ipokiso.com「PO企業情報」(2026年に発表された63件。うち投資法人(REIT)11件を除く52件を数えた。発表日・価格の決定日・受渡日・株数の割合は各社のページ)
- インフロニア・ホールディングス:新株式発行及び株式の売出しに関するお知らせ(2026年10月2日)
- アイ・ピー・エス:新株式発行及び株式売出しに関するお知らせ・国内公募増資に関する補足説明資料(2026年10月5日)、和歌山県における海底ケーブル陸揚局整備に向けた検討の本格化(2026年7月2日)、新国際海底ケーブルCandleの一部使用権(IRU)の提供(2026年8月7日)
- HENNGE:新株式発行及び株式売出しに関するお知らせ(2026年10月2日)
- ソディック:株式の売出しに関するお知らせ(2026年10月5日)
- 業種(2026年10月12日に追記):日本取引所グループ「東証上場銘柄一覧」(2026年8月末)の33業種。メーカー=電気機器・精密機器・化学・機械・食料品・その他製品・繊維製品・金属製品・輸送用機器・非鉄金属・鉄鋼・ガラス・土石製品・パルプ・紙。確かめに使った同じ業種の比べる相手は、TOPIX-17業種別のETF(1617〜1633)
- 株価:Yahoo Financeの日次終値(配当を含まない)。市場差は、各社の騰落率からTOPIX連動ETF(1308)の騰落率を引いた差。発表日は取引が終わったあとの発表として、発表日の終値から数えた
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