調査

TDKの株価は10月30日の決算でどう動くか 過去19回の決算と、HDD磁気ヘッドの売却報道

2026.10.06
TDKの株価は10月30日の決算でどう動くか 過去19回の決算と、HDD磁気ヘッドの売却報道

📌 この記事は公開情報(TDKの決算短信・適時開示、報道、市場データ)にもとづく情報提供・解説であり、特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。数値は特記なき限り2026年10月6日時点のものです。

TDKの株価は、次の決算でどう動くのでしょうか。

決算の翌日、TDKの株価は大きく動いてきました。今回の焦点は会社が通期の利益の予想をどこまで上げるかで、話題のHDDヘッドの売却は利益の柱の話ではありません。

1週間の上げは3つの材料、HDDヘッドを含む事業は利益の8%

株価は、10月1日からの4営業日で2,981円から3,628円へ22%上げました。材料は日ごとに違い、話題のHDD用磁気ヘッドは、TDKの利益の柱ではありません。

日TDK(TOPIX連動ETF)その日に伝えられた材料
2026年10月1日+7.3%(+0.5%)9月29日に太陽誘電と電子部品の共同開発で業務提携の基本合意。株探は「半導体関連のコア銘柄として関連株高で」も挙げた
2026年10月5日+7.8%(+1.4%)株探は「AI市場向け売上高が計画超の見通しと伝わる」
2026年10月6日+5.3%(+0.9%)ブルームバーグが12時53分に、HDD用磁気ヘッドの事業の買収をシーゲートと東芝が競っていると報道

ブルームバーグによると、東芝が春にTDKと協議を始め、米シーゲート・テクノロジーが夏により高い買収案を出したもようです。買収額は数千億円になる見込みとしています(関係者の話)。

磁気ヘッドは、HDD(ハードディスク)の円盤からデータを読み書きする部品です。HDDの大手は、ウエスタンデジタル(WD)、シーゲート、東芝の3社です。WDとシーゲートはヘッドを自社でつくり、ヘッドを外に売っている会社はTDKだけです。2024年1〜3月のヘッドの世界シェアは、WDが45.5%、シーゲートが39.0%、TDKが15.5%でした(調査会社TrendFocus)。

6日の上げで、TDKの時価総額は約3,400億円増えました(自社株を除く18.98億株×181円)。報じられた買収額と、ほぼ同じ大きさです。

ヘッドを含む磁気応用製品のセグメント利益は、2026年3月期に270億円でした。前の期の34億円から約8倍です。会社は、データセンター向けのHDDの需要が強かったと説明しています。それでもセグメント利益の合計3,260億円の8%で、利益の柱は電池などのエナジー応用製品(2,467億円・76%)です。

HDD大手のシーゲートとWDの決算の翌日(2021年以降、各23回)に、TDKが普段の日の2倍を超えて動いたのは5回と4回でした。ただ、向きがシーゲートの株価の反応とそろったのは23回中14回です。HDDの材料だけでは、TDKの株価の向きは読めません。

決算の翌日、TDKは2回に1回は普段の2倍を超えて動いた

最近のTDKの決算は、取引が終わったあとの15時30分に出ています。翌営業日の株価は、過去19回のうち10回で、普段の日の2倍を超えて動きました。

2021年11月から2026年7月までの19回で、決算の翌営業日にTOPIX連動ETFより上げたのは13回、下げたのは6回です。真ん中の値は+3.5ポイント、大きく下げた回は2023年8月(−8.7)と2025年1月(−6.4)でした。

普段の日に、ここまで大きく動くのは5%ほどです。決算の翌日は、TDKの株価がとくに大きく動く日です。

向きは上げに傾いています。ただ、普段の日に市場より上げる割合は49%なので、19回中13回の上げは、偶然でも7%ほどの確率で起きます。上げると決めてかかれる数ではありません。

会社の予想は前期に2回上がり、今期も同じ進み方

前期のTDKは、決算のたびに通期の営業利益の予想を上げました。今期も、予想を上げた前期と同じ速さで利益を積んでいます。

決算の発表日通期の営業利益の予想翌営業日の市場差
2025年4月28日1,800〜2,250億円(期初)+3.6
2025年8月1日据え置き−3.9
2025年10月31日2,450億円に引き上げ−2.3
2026年2月2日2,650億円に引き上げ+8.5
2026年4月28日実績2,724億円。今期の予想は2,950億円+9.3
2026年7月31日2,950億円で据え置き(4〜6月の実績は863億円)+4.1

今期の4〜6月の営業利益863億円は、通期予想2,950億円の29%です。前期の4〜6月の564億円は、期初の予想の真ん中(2,025億円)の28%でした。前期はそこから2回予想を上げ、実績は期初の真ん中を35%上回りました。

為替も追い風です。会社の前提は1ドル150円ですが、7〜9月の平均は159円でした。4〜6月は、前の年より円安だったことで、営業利益が約113億円増えています。

予想を上げた日に、株価が上がるとは限りません。前期の10月は予想を2,450億円に上げましたが、翌日は市場より2.3ポイント下げました。

過去の幅を当てはめると、決算の翌日の真ん中の半分は−2〜+6ポイント

次の決算の翌営業日に、過去19回の幅を当てはめました。決算の前に株価が上げていた回は、翌日の上げと下げが半々でした。

過去19回の真ん中の半分は−2.1〜+6.4ポイント、いちばん下げた回は−8.7、いちばん上げた回は+11.2ポイントでした。時価総額6.9兆円のTDKでは、1ポイントが約690億円です。

決算の前の20営業日に、市場より上げていたかで分けると違いが出ます。上げていた8回は、翌日の上げと下げが4回ずつで、平均は+0.8ポイントでした。上げていなかった11回は、9回が上げ、平均は+3.6ポイントです。

10月6日のTDKは、前の20営業日で市場より25ポイント上げています。8回と11回の比べなので偶然の差の可能性はありますが、1週間で2割上げたあとの決算は、過去の「決算の翌日は上げやすい」を当てにしにくい場面です。

関連企業と日本の接点

買収を競うシーゲートと東芝、提携先の太陽誘電、HDDの部品をつくるニッパツが、この話に関わります。

会社(市場:コード)この話での位置株価(10月6日)
TDK(東証プライム:6762)HDD用磁気ヘッドを外に売る唯一の会社。ヘッドの事業の売却が報じられた3,628円
太陽誘電(東証プライム:6976)9月29日にTDKと電子部品の共同開発で業務提携の基本合意。将来の資本提携も検討する11,135円
ニッパツ(東証プライム:5991)データセンター向けのHDD用サスペンション(ヘッドを支える部品)をつくる3,899円
シーゲート・テクノロジー(米ナスダック:STX)HDDの大手で、ヘッドを自社でつくる。買収を競っていると報じられた。日本の取引所には上場していない887.09ドル(10月5日)
東芝(非上場)HDDの大手。買収を競っていると報じられた。2023年に上場をやめたので、個人は株を直接買えない—

株価の差を、HDDヘッドの売却で説明することはできません。この1年で、シーゲートは3.6倍(一時4.5倍)、太陽誘電は3.1倍(一時6.4倍)になりました。TDKは1.6倍、ニッパツも1.6倍で、どちらもTOPIX連動ETF(1.3倍)を上回っています。

次の山場は10月30日の決算

次に株価が大きく動くのは、10月30日の決算の翌営業日です。会社が通期の営業利益の予想をどこまで上げるかが焦点です。

11月2日(月)決算の翌営業日。過去19回の真ん中の半分は−2.1〜+6.4ポイント
時期は未定HDD用磁気ヘッドの事業の売却の正式発表と金額
2027年2月初め(前年は2月2日)4〜12月期の決算。前期は、ここでも予想を上げた

で、儲かるのか

この記事の答え

10月30日の決算の翌日、TDKの株価は大きく動く。決め手は、会社が通期の営業利益の予想をどこまで上げるかだ。4〜6月のペースなら3,450億円で、いまの予想より17%多い。ただ決算の前に1週間で2割上げており、過去の「決算の翌日は上げやすい」は当てにしにくい。HDDヘッドの売却は、ヘッドを含む事業でも利益の8%の話で、株価の決め手ではない。

前例

決算の翌日は、19回中10回が普段の2倍超。上げ13回・下げ6回。

今回の目安

通期の営業利益の予想が3,450億円(4〜6月のペースの4倍)に届くか。

HDDヘッド

ヘッドを含む磁気応用のセグメント利益は270億円で、全体の8%です。

情報源

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フクリ
フクリ Fukuri編集部のナビゲーターです。海外の投資・経済ニュースを、一次情報にあたって日本の読者向けにまとめています。記事の企画・編集・公開の責任は、運営責任者が負っています。
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