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SUMCOの決算はシリコンウエハーの輸出で読めるのか——15四半期の答え合わせと7〜9月の数字

2026.09.30 2026.11.03 更新
SUMCOの決算はシリコンウエハーの輸出で読めるのか——15四半期の答え合わせと7〜9月の数字

📌 この記事は公開情報(財務省の貿易統計、SUMCOの決算短信・決算説明資料、市場データ)にもとづく情報提供・解説であり、特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。数値は特記なき限り2026年9月30日時点のものです。

🔄 2026年11月3日に更新しました。 9月分の貿易統計が出ました。シリコンウエハーの9月の輸出は615億円で、7〜9月の合計は1,832億円、前年より13%多い額です。会社の7〜9月の売上の見通し(19%増)より6ポイント低い伸びですが、記事に書いたとおり、この差だけでは売上が見通しに届くかは決まりません。答え合わせは、11月11日に予定されているSUMCOの決算で行います。

🔄 2026年10月1日に訂正しました。 公開時は、タイトルを「SUMCOの決算は、毎月の輸出で先に見える」とし、9月分の輸出が約720億円を超えるかどうかで、売上が会社の見通しに届くかの見当がつくと書いていました。決算の前に手に入る数字だけで15四半期を確かめ直すと、輸出の伸びと売上の伸びの外れは平均5〜7ポイントあり、会社の見通しとの差(直近5回で−2〜+5ポイント)を見分けられる精度はありませんでした。タイトルと本文を直しています。

SUMCOの決算は11月です。その前に、財務省はシリコンウエハーの輸出を毎月出しています。この数字で、SUMCOの決算を先に読めるのでしょうか。

輸出で分かるのは、SUMCOの売上のおおよその伸びまででした。会社の見通しに届くかどうかは、輸出では見分けられません。決算の次の日の株価は、輸出が強かった回も弱かった回も、5回とも市場全体より下でした。

輸出と売上の伸びの外れは、平均5〜7ポイント

大きな波では、ウエハーの輸出とSUMCOの売上は同じ向きに動きました。ただ、決算の前に出る輸出の伸びと実際の売上の伸びは、平均5〜7ポイント離れています。増えたか減ったかを当てた数は、「前の四半期と同じ」と決め打ちした場合と同じ15回中9回でした。

SUMCOは、半導体の土台になるシリコンウエハー(高純度のシリコンでつくる円い板)の専業大手です。売上の8割ほど(2025年度は80.5%)が海外向けで、台湾・韓国などの半導体メーカーに売っています。財務省の貿易統計には、日本から出ていくウエハーの輸出額が毎月載ります。

2022年の後半は、輸出も売上も前年より3割前後伸びました。2023年の後半は、どちらも1割ほど減っています。大きな上がり下がりは、そろって起きています。

では、決算の前にこの数字で売上の伸びを当てられたのか。2022年10〜12月から2026年4〜6月までの15四半期で、決算の前に手に入る3つの当て方を比べました。

当て方いつ分かるか売上の伸びとの外れ(平均)増えたか減ったかを当てた数
その四半期の最初の2か月の輸出の伸び決算の1か月半ほど前6.6ポイント15回中9回
その四半期の3か月分の輸出の伸び決算の1〜2週間前5.5ポイント15回中9回
輸出を見ずに「前の四半期と同じ伸び」と決め打ち前の決算の日8.2ポイント15回中9回

外れは、当て方が示す前年からの伸びと、実際の売上の伸びの差です(売上が10%増のときに輸出が15.5%増なら、外れは5.5ポイント)。輸出は、いま公表されている値(公表後に改定された分を含む)で計算しました。

伸びの大きさは、輸出のほうが決め打ちより近く当たっています。 それでも、3か月分の輸出で15回中6回は外れが5ポイントを超え、増えたか減ったかを当てた数は決め打ちと変わりません。

大きく外れたのは2024年です。4四半期続けて、輸出の伸びが売上の伸びを7〜18ポイント上回り、4〜12月は輸出が増えたのに売上は減りました。2026年4〜6月は逆に、輸出が1%しか伸びないのに売上は10%伸びています。

輸出とSUMCOの売上がずれる理由として考えられるのは、次の3つです。

  • 統計には会社の名前が出ず、信越化学の子会社の信越半導体など、ほかのメーカーの分も入っている
  • SUMCOの売上には、台湾の子会社FST(フォルモサSUMCOテクノロジー)が台湾でつくったウエハーの分も入っていて、日本の輸出には表れない
  • 日本国内の半導体メーカー向けの売上も、輸出には表れない

7〜9月、会社は19%増を見込む。輸出は7〜8月で16%増

SUMCOは7〜9月の売上を約1,180億円と見込んでいます。前年より19%多い額です。7〜8月の輸出は前年より16%多く、4〜6月の1%増から伸びが大きく加速しました。

SUMCOは1年分の見通しを出さず、次の3か月までの見通しだけを出す会社です。8月6日に出した1〜9月の見通し(売上高3,330億円)から、1〜6月の実績(2,150億円)を引くと、7〜9月は約1,180億円になります。前年の7〜9月は991億円でした。営業損益はほぼゼロの見込みで、1〜6月の赤字(営業損失64億円)から持ち直す計画です。

輸出は、7月が575億円(前年より10%増)、8月が642億円(23%増)でした。8月は、統計をさかのぼった2021年以降でいちばん多い月です。重さでも15%増えていて、値上がりではなく量が増えています。

ただ、輸出の16%と会社の見通しの19%の差は3ポイントで、輸出の外れの平均(5〜7ポイント)より小さい差です。 この差から、売上が見通しに届くかどうかは判断できません。7〜9月の輸出が見通しと同じ19%の伸びになるには、9月に約720億円が必要ですが、9月分がこの額を超えても下回っても、売上が見通しに届くかは決まりません。

会社の見通しとの差は−2〜+5ポイント。輸出の外れより小さい

直近5回の決算で、売上の伸びと会社の見通しの伸びの差は、−1.9〜+5.3ポイントでした。輸出の外れの平均(5〜7ポイント)と同じか、それより小さい差です。輸出で「見通しに届くか」を見分けるには、輸出の精度が足りません。

決算期(発表の日)輸出は見通しより売上の伸びと見通しの差売上の結果
2025年4〜6月(8月7日)強かった+2.8ポイント見通しを上回った
2025年7〜9月(11月11日)弱かった−1.9ポイント見通しを下回った
2025年10〜12月(2026年2月10日)強かった+5.3ポイント見通しを上回った
2026年1〜3月(5月12日)強かった+1.4ポイント見通しを上回った
2026年4〜6月(8月6日)弱かった+1.6ポイント見通しを上回った
2026年7〜9月(11月)弱い(7〜8月まで)11月に判明—

「輸出が見通しより強い」とは、輸出の前年からの伸びが、会社が3か月前に出した売上の見通しの伸びより大きかった、という意味です。

輸出の強弱と結果がそろったのは5回中4回です。ただ、SUMCOは5回のうち4回で売上の見通しを上回っており、「次も見通しを上回る」と決め打ちしても4回当たります。5回では、輸出で当てたのか偶然なのかを区別できません。11月の決算で、この表に1行足します。

決算の次の日は、5回とも市場全体より下

SUMCOの株価は、2025年8月1日から2026年9月29日までに2.6倍になりました。上げ幅が大きかった上位10日に、決算の次の日は1日もありません。この期間でいちばん大きく下げたのは、決算の次の日(2025年11月12日、20.2%安)でした。

決算の次の取引日の株価は、2025年8月が0.7%高(市場全体は1.2%高)、11月が20.2%安、2026年2月が8.5%安、5月が6.8%安、8月が2.1%安です。輸出が見通しより強かった回も弱かった回も、5回とも市場全体(TOPIX連動ETF)を下回りました。

上げ幅が大きかった日のうち、2026年5月29日(19.3%高)について、日本経済新聞は、生成AI向けの半導体の需要の広がりを受けた国内大手証券の評価の引き上げが買い材料になったと伝えています。

この期間の終値の高値は7月14日の5,307円で、9月29日の終値は3,040円、そこから43%下にあります。

関連企業と日本の接点

日本の取引所に上場しているシリコンウエハーの大手は、SUMCOと信越化学(子会社の信越半導体)です。台湾の環球晶圓(グローバルウェーハズ)やドイツのシルトロニックは、日本の取引所には上場していません。

会社(市場:コード)シリコンウエハーとの関わり決算・株価で見えること
SUMCO(東証プライム:3436)シリコンウエハーの専業。次の3か月までの見通しだけを出す2026年1〜6月は売上高2,150億円・営業損失64億円。7〜9月の見通しは売上高約1,180億円・営業損益ほぼゼロ。株価(9月29日)3,040円
信越化学工業(東証プライム:4063)子会社の信越半導体がシリコンウエハーをつくる。塩化ビニル樹脂なども大きいウエハーは事業の一部で、株価はウエハー以外の要因でも動く。株価5,749円

で、儲かるのか

この記事の答え

ウエハーの輸出で分かるのは、SUMCOの売上のおおよその伸びまでです。会社の見通しに届くかは見分けられず、決算の次の日の株価も読めません。

確かめた結果

輸出の伸びと売上の伸びの外れは平均5〜7ポイント。会社の見通しとの差(直近5回で−2〜+5ポイント)を見分けられる精度はありません。

いまの数字

7〜8月の輸出は16%増で、4〜6月の1%増から加速。会社の7〜9月の見通しは19%増。差の3ポイントは、輸出の外れより小さい差です。

儲かるのか

決算の次の日は5回とも市場全体より下で、輸出が強かった回も弱かった回も同じでした。輸出で決算を先回りしても、決算の次の日の株価は当てられませんでした。

10月29日財務省の貿易統計の9月分。7〜9月のシリコンウエハーの輸出の伸びが固まる(会社の見通しと同じ19%増になるのは約720億円)
11月(前年は11月11日)SUMCOの7〜9月期決算。売上が約1,180億円に届いたか。輸出の伸びとの外れを、この記事の表に追記する。⚠️ 台湾の子会社FSTは9月30日をもって連結から外れる。FSTの売上高は2024年で124億台湾ドルあり、10〜12月からはFSTの売上がSUMCOの連結の売上に入らない

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フクリ Fukuri編集部のナビゲーターです。海外の投資・経済ニュースを、一次情報にあたって日本の読者向けにまとめています。記事の企画・編集・公開の責任は、運営責任者が負っています。
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