SNS投資詐欺の最新手口|なりすまし広告とロマンス投資詐欺はこう近づいてくる

「〇〇氏がAI投資法を無料公開」というSNS広告。マッチングアプリで知り合った、優しくて投資に詳しい外国の人。——実はどちらも、いま日本で被害が急増している投資詐欺の入口かもしれません。
警察庁の統計では、2025年(令和7年)のSNS型投資詐欺の被害額は約1,288億円、SNS型ロマンス詐欺は約546億円と、どちらも前年から大きく増えました。しかも手口は「怪しい儲け話」ではなく、信頼できそうな顔をして近づいてくるのが特徴です。
この記事では、①著名人なりすまし型の偽広告、②ロマンス投資詐欺という2大手口が「どうやって近づいてくるか」を流れで解説し、③入口でブロックする方法までを紹介します。なお「元本保証」「必ず儲かる」といった危険な言葉の見分け方は、姉妹記事の投資詐欺の見分け方で解説しています。本記事は言葉ではなく手口と経路に注目する補完編です。
被害はどれくらい増えている?
まず全体像です。警察庁が公表した確定値によると、SNSを通じた投資詐欺・ロマンス詐欺の被害は、認知件数・被害額ともに前年から約1.4〜1.5倍に増えています。
被害者の年齢層は、どちらの手口も40代から60代が中心です。「詐欺は高齢者だけの問題」ではなく、スマホで投資情報を集める現役世代こそ狙われています。リスクとリターンの感覚が身につく前の投資初心者は、特に注意が必要です。
手口①:著名人なりすまし型の偽広告
FacebookやInstagram、YouTubeなどで、実在の著名な経営者・投資家・芸能人の写真や動画を無断使用した偽広告が入口になる手口です。証券会社や報道機関のロゴをかたるケースもあります。金融庁も「著名人を騙る者からの投資勧誘」として繰り返し注意喚起しており、警察庁の統計でも、SNS型投資詐欺のうちバナー等の広告をきっかけとした被害が2025年に3,785件(前年比約1.3倍)確認されており、当初の接触手段として最多です。
典型的な流れはこうです。
ポイントは、広告の時点では詐欺と気づきにくいことです。誘導先のLINEグループでは「講師」や「アシスタント」を名乗る人物が丁寧に投資を教えてくれて、グループ内には「利益が出ました!」と報告するサクラが大勢います。指定されたアプリやサイトに入金すると、画面上では順調に利益が増えていく。ところが出金しようとすると「手数料」「税金」の名目で追加入金を求められ、最後は連絡が途絶えます。
警察庁は、こうした偽広告に共通する特徴として、次の点を挙げています。
- 日本語の表記が崩れているなど、広告として不自然な点がある
- 著名人をかたっているのに未認証アカウントを使っている
- すぐにLINE登録へ誘導しようとする
- 「必ず儲かる」「元本保証」などの甘い言葉を使う(この言葉が出たら即アウトです。詳しくは投資詐欺の見分け方)
本物の著名人や証券会社が、SNS広告から個人のLINEグループに誘導して「確実に儲かる投資法」を教えることは、まずありません。
手口②:ロマンス投資詐欺(SNS型ロマンス詐欺)
もう1つの急増している手口が、警察庁の統計で「SNS型ロマンス詐欺」と呼ばれるものです。国民生活センター(越境消費者センター)では「ロマンス投資詐欺」という呼び方でも相談事例が紹介されています。
こちらの入口は広告ではなく、人間関係そのものです。最初の接触ツールを見てみましょう。
出会いの場はマッチングアプリやSNSですが、その後の連絡は9割以上がLINEに移行します(警察庁・2025年確定値では93.8%)。そして数週間から数か月かけて毎日やり取りし、恋愛感情や親近感を育ててから、「二人の将来のために」と暗号資産やFXへの投資を持ちかけてくるのが典型パターンです。
ここで重要なのは、勧められる投資先が偽のサイトやアプリであることです。入金すると画面上では利益が増えていくため、本人は「本当に儲かっている」と信じてしまい、追加入金を重ねます。出金を申し出た途端に「税金や手数料が必要」と言われ、支払っても出金できず、最後は相手と連絡が取れなくなる——。手口①と同じ結末です。なお2025年は、だまし取られたお金を暗号資産で送金させるケースがロマンス詐欺で2,177件・約248億円と、被害額ベースで前年の約2.9倍に急増しました。暗号資産そのものの基礎はビットコイン入門で解説していますが、「送金先を相手が指定してくる暗号資産投資」はまず疑ってください。
2つの手口は「入口が違うだけ」
並べてみると、2つの手口は入口が違うだけで、その後の構造はほぼ同じだと分かります。
| 手口①なりすまし広告 | 手口②ロマンス投資詐欺 | |
|---|---|---|
| 入口 | SNSの偽広告(著名人・ロゴを無断使用) | マッチングアプリ・SNSでの出会い |
| 信頼のつくり方 | 著名人の知名度・サクラの成功報告 | 時間をかけた恋愛感情・親近感 |
| 誘導先 | LINEの投資グループ | LINEの1対1トーク |
| 投資先 | 偽の投資アプリ・サイト | 偽の投資アプリ・サイト(暗号資産が多い) |
| 結末 | 出金時に追加請求→連絡途絶 | 出金時に追加請求→連絡途絶 |
共通するのは、①LINEへ誘導される、②偽の利益画面を見せられる、③出金しようとすると追加のお金を要求される、という3点です。逆に言えば、この流れを知っておくだけで、途中で「あのパターンだ」と気づけます。
入口でブロックする4つの行動
- 広告の著名人は本人か確認する:金融庁は「まず、なりすましを疑い、本人の公式アカウントの発信を確認する」よう呼びかけています。本物の著名人が無料の投資グループに招待することは基本的にありません。
- 会ったことのない人からの投資話は疑う:マッチングアプリやSNSで知り合っただけの相手から投資の話が出たら、それ自体を警告サインと考えてください。
- 業者が金融庁に登録されているか調べる:日本で投資の勧誘を行うには登録が必要です。金融庁サイトの「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」で確認できます。投資を始めるなら、こうした登録を受けた証券会社で証券口座を開くのが大前提です。
- 個人名義の口座・指定された暗号資産アドレスに送金しない:正規の金融機関が個人口座への振込を求めることはありません。
それでも「怪しいけれど確信が持てない」ときは、送金する前に相談してください。消費者ホットライン188、警察相談専用電話#9110、金融庁の金融サービス利用者相談室(0570-050588)が窓口です。
フクリの見方
- 詐欺の手口は流行り廃りがありますが、出金させない・追加で払わせるという骨格は変わりません。流れごと覚えるのがいちばんの防御です。
- 本物の投資に、LINEグループも特別ルートもいりません。登録業者の口座で、分散投資をコツコツ続ける。地味ですが、それが王道です。
- 「自分は大丈夫」と思っている人ほど、感情を動かされたときに弱い。迷ったら送金前に188、を合言葉にしてください。
まとめ(3行)
- 2025年のSNS型投資詐欺の被害額は約1,288億円、SNS型ロマンス詐欺は約546億円と急増(警察庁確定値)。狙われるのは40代から60代の現役世代が中心。
- 2大手口は、著名人をかたる偽広告と、恋愛感情につけ込むロマンス投資詐欺。入口は違っても「LINE誘導→偽の利益画面→出金時に追加請求」という流れは共通。
- 公式アカウントで本人確認、金融庁の登録業者か確認、個人口座・指定アドレスへ送金しない。迷ったら消費者ホットライン188へ。
情報源
- 警察庁:令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)(2026年5月22日公表)
- 警察庁・SOS47:SNS型投資詐欺/SNS型ロマンス詐欺
- 金融庁:SNS・マッチングアプリ等で知り合った者や著名人を騙る者からの投資勧誘等にご注意ください!
- 金融庁:それ詐欺です!SNS上の投資勧誘にご注意ください!
- 国民生活センター・越境消費者センター(CCJ):ロマンス投資詐欺に関する相談
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の投資勧誘や投資助言を行うものではありません。投資にともなう最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。記載内容の正確性には努めていますが、その完全性・将来の結果を保証するものではありません。