投資詐欺の見分け方|被害額はオレオレ詐欺を超えた——5つの警告サインと、狙われる人の共通点

投資を始めると、SNSやメッセージでうまい話が近づいてくることがあります。「元本保証で必ず儲かる」「あなただけ特別に」——これらは、投資詐欺によくある危険なサインです。
そして、これは「一部の不注意な人の話」ではありません。投資詐欺の被害額は、いまやオレオレ詐欺などの特殊詐欺全体を上回っています。
数字で見る——投資詐欺はいくら奪っているか
警察庁が公表した令和6年(2024年)の確定値を見てください。
数字を整理すると、こうなります。
| 区分 | 認知件数 | 被害額 | 前年からの増減 |
|---|---|---|---|
| SNS型投資詐欺 | 6,413件 | 871.1億円 | 件数+182.4%、被害額+213.4%(前年の約3倍) |
| SNS型ロマンス詐欺 | 3,824件 | 400.9億円 | 件数+142.8%、被害額+126.1% |
| (参考)特殊詐欺 | 21,043件 | 718.8億円 | 件数+10.5%、被害額+58.8% |
もうひとつ、見逃せない事実があります。SNS型ロマンス詐欺の被害額400.9億円のうち、85.8%にあたる344.1億円が「投資名目」でした(認知件数でも73.1%)。恋愛感情を利用した詐欺も、お金を出させる口実は投資なのです。
つまり令和6年に「投資の話」で奪われたお金は、両方を合わせると1,200億円を超えます。これは知識の有無ではなく、誰の身にも起こりうる規模の話になっています。
だまされないための5つの警告サイン
次の言葉が出てきたら、いったん立ち止まってください。
5つ目のサインは 「高すぎる利回り」。「月利10%(年120%)」のような数字は、現実の投資ではまずあり得ません。本物の投資はリスクとリターンが必ずセットで、高いリターンには高いリスクが伴います。リスクなしで高利回りは存在しないと覚えてください。
参考までに、日本株全体の平均的な配当利回りは1.91%(TOPIX・2026年6月末)です。「月利10%」がどれだけ現実離れした数字か、比べれば分かります。
⚠️ そもそも利益保証や断定的な勧誘は、金融商品取引法で禁止されています。「絶対に儲かります」と言った時点で、その相手は法律を守っていません。
なぜ賢い人ほど引っかかるのか
「自分は大丈夫」と思った方にこそ読んでいただきたいところです。
警察庁の資料によると、SNS型投資詐欺で被疑者が詐称した職業の1位は「投資家」だったそうです。次いで会社員、会社役員。つまり相手は、投資に関心のある人が信じたくなる肩書きを選んで名乗っています。
手口の特徴は3つあります。
とくに危ないのが②です。最初に本当に儲かってしまうので、「これは本物だ」と確信してから大金を入れることになります。知識がある人ほど「自分で確かめた」という手応えを持ってしまう。だまされるのは、判断力が低いからではなく、検証したつもりになれる仕掛けがあるからです。
そして③が決定打です。出金しようとすると「税金を先に払え」「保証金が必要」と言われる。ここですでに入れたお金を取り戻したい心理が働き、さらに払ってしまいます。
1件あたりの被害額が大きい理由
同じ令和6年の数字を、1件あたりで割ってみます。
| 区分 | 被害額 ÷ 件数 |
|---|---|
| SNS型投資詐欺 | 約1,358万円(871.1億円÷6,413件) |
| 特殊詐欺(既遂1件あたり・警察庁公表値) | 350.3万円 |
およそ4倍です。件数では特殊詐欺のほうが3倍以上多いのに、被害総額で逆転しているのはこのためです。
被害額の分布も公表されています。
| 被害額 | 件数 |
|---|---|
| 500万円以下 | 3,207件 |
| 1,000万円以下 | 1,081件 |
| 2,000万円以下 | 984件 |
| 5,000万円以下 | 796件 |
| 1億円以下 | 253件 |
500万円以下が最多ですが、5,000万円を超える被害も340件以上あります。老後資金や退職金がまとめて動く金額です。「少し試してみるか」で始まったものが、この規模まで膨らみます。
だまされないための行動
- 「保証」「必ず」が出たら即・疑う。金融商品取引法で禁止されている表現です。
- 登録業者かを確認する。金融庁のサイトで、金融商品取引業者の登録一覧と無登録業者の警告リストが公開されています。名前がなければ、それだけで取引してはいけません。
- その場で決めない・お金を渡さない。急かす相手ほど怪しい。1日待って冷静になるだけで、多くは防げます。
- 「出金に手数料が要る」と言われたら、そこで終わり。正規の金融機関が、出金のために追加入金を求めることはありません。
- 分散で守る。1つの「うまい話」に資産を集中させない(分散投資)。
なお、高い利回りそのものが詐欺の証拠というわけではありません。実在する高配当株にも、株価が下がった結果として利回りだけが高く見えているものがあります。詐欺かどうかの分かれ目は利回りの高さではなく、保証をうたうか・急がせるか・登録があるかです。相場が荒れて不安が高まる暴落の局面は、この手の話が増えやすい時期でもあります。
困ったら、ここに相談
- 消費者ホットライン「188(いやや!)」:局番なしで
188。お住まいの地域の消費生活センターにつながります。 - 金融庁・金融サービス利用者相談室:金融商品のトラブル相談ができます。
- 警察相談専用電話「#9110」:被害が疑われるとき。
「おかしいな」と思ったら、契約・送金の前に必ず相談してください。すでに払ってしまった後でも、早いほど資金を止められる可能性が上がります。恥ずかしいと感じて黙ってしまうのが、いちばん被害を大きくします。
フクリの見方:狙われているのは「無知な人」ではなく「勉強中の人」
編集部の立場を書きます。投資詐欺の主な標的は、投資を知らない人ではなく、投資を学び始めた人だと考えています。
根拠は2つあります。ひとつは、被疑者が名乗る職業の1位が「投資家」だったことです。投資に無関心な人に「投資家です」と言っても響きません。相手は、投資に関心を持ち始めた人を選んで近づいています。
もうひとつは、手口が「検証させる」構造になっていることです。最初に少額で儲けさせ、出金もできるようにする。これは、自分で確かめる習慣を持つ人ほど効く仕掛けです。何も調べない人には、そもそもここまで手間をかける必要がありません。
だから「勉強すれば防げる」とは言いません。知識ではなく、手順で防ぐべきです。①金融庁の登録を確認する ②その場で決めない ③出金に追加入金を求められたら終わり——この3つは、相手が誰であっても、どんなに話が魅力的でも、機械的に実行できます。感情が動いているときに冷静な判断を期待するより、あらかじめ決めたルールに従うほうが確実です。
この見方が外れるとしたら、詐欺の手口が「関係を深める」型から、面識のない相手への一斉勧誘型に戻った場合です。そのときは、いまより見分けやすくなります。ただし令和6年の統計を見るかぎり、流れは逆方向に進んでいます。
まとめ(3行)
- SNS型投資詐欺の被害額は年871.1億円(令和6年)。オレオレ詐欺などを含む特殊詐欺全体の718.8億円を上回り、1件あたりでは約4倍。
- 典型サインは5つ。元本保証・必ず儲かる・あなただけ・今だけ・高すぎる利回り。最初に儲けさせてから、出金時に手数料を要求するのが定番の流れ。
- 防ぐのは知識ではなく手順。登録確認・その場で決めない・出金に追加入金を求められたら終わり。困ったら 188。
情報源
- 警察庁「令和6年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値版)」(令和7年5月23日):npa.go.jp(SNS型投資詐欺6,413件・871.1億円、SNS型ロマンス詐欺3,824件・400.9億円のうち投資名目85.8%、特殊詐欺21,043件・718.8億円、既遂1件あたり350.3万円、被害額の分布、被疑者の詐称職業)
- 警察庁・SOS47特殊詐欺対策ページ:npa.go.jp
- 消費者庁:消費者ホットライン188
- 金融庁:無登録業者にご注意ください
- 国民生活センター:kokusen.go.jp
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の投資勧誘や投資助言を行うものではありません。投資にともなう最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。記載内容の正確性には努めていますが、その完全性・将来の結果を保証するものではありません。