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米国人の71%が「近所は嫌だ」と答えた設備を、宇宙に置こうとしている会社に4.5億ドルが集まった

2026.08.25 ・ 執筆:フクリ
米国人の71%が「近所は嫌だ」と答えた設備を、宇宙に置こうとしている会社に4.5億ドルが集まった

📌 本記事は公開情報(各社の発表、ギャラップの世論調査、報道、市場データ)にもとづく情報提供・解説であり、特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。数値は特記なき限り2026年8月25日時点のものです。

ギャラップが2026年3月に行った調査で、米国人の71%が「自分の住む地域にAIのデータセンターを建てるのは反対」と答えました。 うち48%は「強く反対」です。

同じ時期に、そのデータセンターを軌道上に置こうとしている会社へ、お金が集まっています。

2026年8月24日、Starcloudが2.5億ドルの追加調達を発表しました。 累計4.5億ドル、評価額は23億ドル。 出資者にはNVIDIAとCiscoが並んでいます。

地上のインフラを作ってきた側が、軌道側へ手を伸ばしました。

確定していることと、まだ計画のこと

この分野は、実績と構想が混ざりやすいところです。先に分けます。

内容
確定2025年11月、Starcloudが軌道上でNVIDIA H100を運用。GoogleのGemmaを動かし、NanoGPTを学習させた
確定2026年8月24日、2.5億ドルの追加調達。累計4.5億ドル、評価額23億ドル。リードはManhattan West、NVIDIAとCiscoも参加
確定軌道上での計測データが、NVIDIAの宇宙向けGPU「Space-1 Vera Rubin Module」の設計に反映されている
計画そのGPUはまだ製造されていない。打ち上げ目標は2028年後半
申請中StarcloudはFCCに低軌道88,000機の運用許可を申請

H100は、AIの学習と推論に広く使われてきたNVIDIAの高性能な計算チップです。地上のデータセンターの主力で、それが軌道上で実際に動いたというのが2025年11月の意味になります。

⚠️ 88,000機という数字は、申請であって許可ではありません。 現在軌道上にある人工衛星の総数を大きく超える規模で、そのまま実現する前提で読むべきものではありません。

評価額23億ドルという数字も、確定した価値ではありません。 未上場企業の評価額は、直近の出資が成立した条件を指すもので、上場企業の時価総額とは意味が違います。Starcloudは未上場で、個人が直接株を買う手段はありません。

なぜ軌道上なのか

理由は3つあり、性質が違います。

①の反対理由の中身も、ギャラップが調べています。 資源の使いすぎ(水と電気がそれぞれ18%)、汚染(16%)、地域の暮らしへの影響——つまり反対の中身は、②と③そのものです。

地上でデータセンターが嫌われる理由と、軌道上に行く理由が、同じものを指しています。

2つのボトルネックが同時に動いています

構想が前に進むかどうかは、詰まっている場所が動くかで決まります。いま2か所で動きがあります。

打ち上げ枠の争奪

SpaceXがファルコン9の退役準備に入り、相乗り便の新規受付を止めました。 これで枠の奪い合いが起きています。Portal Spaceはファルコン9を1機まるごと買い、Cowboy Spaceは自前のロケットへ切り替え、SEOPSは専用の相乗り便を倍に増やしています。

軌道上にものを置く構想が増えているのに、運ぶ手段のほうが細くなっている——これが目下の制約です。

電力設備の商品化

もう一方は電力です。 ブルックリンのBeyond Reach Labs(2026年7月に1,000万ドルのシード調達)が、展開式の太陽電池アレイ「Flarewing」を発表しました

最大サイズで、収納時6m×29cm×13cmが、展開すると625平方メートル・200キロワットになります。 地上での認定は2027年内を目指す、としています。

⚠️ これは発表であって、軌道上での実績ではありません。

それでも意味はあります。 軌道上のデータセンターにとって最大の制約は電力で、そこに個別開発ではなく商品として買える部品が出てきたということだからです。

関連企業と日本の接点

まず、この話の中心にいる2社は未上場です。

企業状態この話での位置
Starcloud未上場(評価額23億ドル)軌道上でH100を動かした唯一の会社。個人が直接買う手段はありません
Beyond Reach Labs未上場(2026年7月シード1,000万ドル)展開式太陽電池。同上

出資・関連が確認できる上場企業

企業コードこの話での位置参考株価(終値)
エヌビディアNVDA(NASDAQ)Starcloudに出資。宇宙用GPUを設計中208.48ドル〈8/24〉
シスコシステムズCSCO(NASDAQ)Starcloudに出資110.23ドル〈8/24〉

運ぶ側(打ち上げ)

企業コードこの話での位置参考株価(終値)
ロケットラボRKLB(NASDAQ)小型打ち上げの主力。Starcloudとの取引は確認できていません68.28ドル〈8/24〉
ファイアフライ・エアロスペースFLY(NASDAQ)小型打ち上げ。同上23.10ドル〈8/24〉

日本の接点(間接的・取引未確認)

企業コードこの話での位置参考株価(終値)
三菱重工業7011H3ロケットの打ち上げ。この構想との取引は確認できていません3,928円〈8/25〉
ispace9348宇宙輸送。月面が主戦場で層が違います423円〈8/25〉

⚠️ この一覧は、話に関係する企業を整理したものであって、投資対象として推奨するものではありません。 打ち上げ側と日本勢は、この構想との取引が確認できていない「関連が想定される」段階です。各社は事業構成が異なり、この論点以外の要因でも業績と株価は動きます。米国上場の4社を日本から売買するには、外国株を扱う証券口座が要ります。 株価は変動しますので、最新の値はYahoo!ファイナンスなどでご確認ください。

株価はどう動いてきたか。1年前を100として並べます。 振れ幅が大きく違うので、2つに分けています。

ロケットラボは、この1年で一時295まで上げてから140に戻っています。ファイアフライは51です。 「宇宙が伸びるから打ち上げ企業が上がる」という一本の線では説明できません。

フクリの見方

この記事の見立ては、「軌道上データセンターの成否は、計算の話ではなく運搬の話で決まる」というものです。

理由は1つです。 軌道上で計算できることは2025年11月にもう証明されており、残っている未証明は「必要な量を、必要な時期に、採算の合う費用で運べるか」だけだからです。

H100が軌道で動き、Gemmaが動き、NanoGPTが学習できた。 技術としての問いは、そこで一度閉じています。 NVIDIAが専用GPUの設計に入ったのも、動いた実績があるからです。

一方で、運ぶ側は逆方向に動いています。 SpaceXが相乗り便の受付を止め、枠の奪い合いが起きている。 ロケットを1機丸ごと買う会社が出るというのは、枠が金額では簡単に増やせないということです。

88,000機という申請は、この対比の中で読むべきものです。 仮に1回の打ち上げで数十機運べたとしても、必要な便数は数千回になります。現在の打ち上げ能力とは、桁が合っていません。

だから、この構想を追うときに見るべきは資金調達額ではありません。 1kgを軌道に上げる費用と、年間の打ち上げ回数です。そこが動かない限り、評価額がいくらになっても軌道上のデータセンターは実験の域を出ません。

この見立てが外れる条件

投資として見るときの注意

同じ流れは、これまでも別の形で表れてきました。 地上で計算資源を置く場所が政治の問題になった件は10年かけて誘致した知事が、自分で止めた、軌道上に計算を持ち出す構想そのものはSpaceXの軌道上コンピュート、計算資源の伸びが何で決まるかはAIの売上は年10倍、計算資源は年3倍で扱いました。電力側の実情は電気代が上がったのは本当にデータセンターのせいかにまとめています。

確定と計画を分けて読むことが、この分野では特に効きます。 動いた実績(軌道上のH100)と、申請段階の数字(88,000機)を同じ重みで受け取らない。 それだけで、話の輪郭がはっきりします。

まとめ(3行)

情報源

免責事項

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の投資勧誘や投資助言を行うものではありません。投資にともなう最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。記載内容の正確性には努めていますが、その完全性・将来の結果を保証するものではありません。

フクリ
フクリ Fukuri編集部のナビゲーターです。海外の投資・経済ニュースを、一次情報にあたって日本の読者向けにまとめています。記事の企画・編集・公開の責任は、運営責任者が負っています。
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