好決算なのに株価が下がるのはなぜ? 増益でも市場の予想に届かなければ、3社に2社が下げた

📌 この記事は公開情報(各社の決算、報道、市場データ)にもとづく情報提供・解説であり、特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。数値は特記なき限り2026年10月28日時点のものです。
決算の時期になると、「好決算なのに株価が下がった」という話が増えます。10月28日には、カプコンが利益を大きく伸ばした決算を出したあとに、株価が大きく下げました。
こういうとき、よく「材料出尽くし」と言われます。下げは行き過ぎで、いずれ戻る(売られすぎ)と見る人もいます。
株価が比べていたのは、去年の利益ではなく市場の予想でした。予想に届かない決算は、増益でも、どの業種でも下げるほうが多く、その値動きは発表をはさんだ2日で終わっていました。
カプコンは去年より35%多く稼いでも、予想に14%届かず下げた
カプコンの7〜9月の1株利益は、去年より大きく増えましたが、アナリストの予想の平均には届きませんでした。
去年と比べれば好決算です。ただ、市場は決算の前から、それ以上の利益を見込んでいました。株価の向きは、去年との比べではなく、予想との比べとそろっています。
前の2回の決算(2025年10〜12月と2026年4〜6月)は、1株利益が予想を3割上回り、株価はどちらも上げました。
報道では、別の材料も挙がりました。フィスコは、本業の利益(営業利益)は市場の予想並みだったとしたうえで、業務用の遊技機器の先行販売の上乗せがあったこと、ゲームの旧作の売れ行きが伸び悩んだことから、物足りない内容と受け止められたと伝えています。会社は通期の利益の予想を変えておらず、上期の実績から計算すると、下期は前年より4割余り減る見通しです。
ここでいう「発表をはさんだ2日」は、発表の前の取引日の終値から、発表の次の取引日の終値までの動きです。発表が取引時間中でも、取引が終わったあとでも、同じ物差しで比べられます。「業種の株」は東証の17業種ごとのETF(上場投資信託)で、相場全体や業種全体の上げ下げを差し引くために使います。
444社・17業種で数えた:予想に届かない決算は、どの業種でも下げた
増益でも市場の予想を下回った決算は、3社に2社が業種の株より下げました。予想を上回った増益の決算で下げたのは、半分を下回ります。
数えたのは、2025年8月4日から2026年10月27日までに決算を出した東証の大きな会社のうち、アナリストの予想が分かる444社の1,527回の決算です。
増益の大きさで分けても同じです。30%を超える大きな増益でも、予想を下回ると59%が下げました。小さな増益でも、予想を上回れば下げたのは半分を下回ります。
ただ、増益なのに業種の株より下げた決算のうち、予想を下回っていたのは33%で、3回に1回です。予想に届かないと下げやすいのは確かですが、好決算で下げた理由をすべて予想との差で説明できるわけではありません。
⚠️ ここでの「市場の予想」は、Yahoo Financeに載っているアナリストの1株利益の予想の平均です。予想が出ている会社に限られ、大型株はほぼ全部、中型株は約6割、小型株は1割余りしか入っていません。1株利益は特別な利益や損失でも動くので、本業の利益(営業利益)の予想との比べと向きが逆になる会社もあります。
予想と実績は、英語ですが、Yahoo Financeの銘柄ページの「Analysis」で、直近の決算について並べて見られます。日本語のニュースでは「市場予想」「コンセンサス」という言葉で書かれます。
17業種すべてで、予想を下回った決算のほうが、上回った決算より下げていました。ただ、差の大きさは業種でまったく違います。
差が大きいのは鉄鋼・非鉄、電機・精密、機械などです。電機・精密では、予想を下回った決算の真ん中が、業種の株より4.1ポイント下でした。
反対に食品は、予想を上回っても下回っても、ほとんど差がありません。素材・化学、運輸・物流、電力・ガスも差の小さい業種です。持っている株の業種で、決算の予想との差がどれくらい効くかの目安になります。銀行とエネルギー資源は、予想を下回った決算の数が少なく、差は確かではありません。
よく言われる「出尽くし」と「売られすぎ」は、前例では小さかった
決算の前に上げていた株は、予想を上回っても上げ幅が小さくなりますが、下げには変わりませんでした。決算で下げた株も、その後の1か月で戻るとは言えません。
予想を上回った決算でも、決算の前の1か月に大きく上げていた組は、上げ幅が小さくなっています。良い決算を先に織り込んでいた分だけ上げにくくなる、という意味では「出尽くし」の言い方は当たっています。
ただ、どの組も真ん中はプラスのままで、前の上げだけを理由に下げると見るのは前例と合いません。カプコンも、決算の前の1か月は業種の株とほぼ同じ動きで、先に上げていたわけではありません。
好決算なのに予想に届かず下げた決算の、その後の約1か月を数えると、業種の株より上だったのは54%でした。ほぼ半々です。予想を上回って上げた決算を追いかけても、その後は業種の株並みでした。値段は、発表をはさんだ2日で動き終わっています。
決算期ごとに見ると、下げた決算のその後は、4回のうち3回は少し戻り、直近の2026年7〜9月はさらに下げました。戻ると言えるほどはそろっていません。
発表の前に、予想を上回りそうな会社を当てる手がかりも見つかりませんでした。前の決算で予想を上回った会社は、今回も上回る割合が少し高かったものの、発表をはさんだ2日の株価には、ほとんど差が出ていません。1社の決算の日に株価がどう動いてきたかは、電子部品のTDKの決算の記事でも数えています。
11月13日までに、決算がほぼ出そろう
3月期決算の会社の4〜9月の決算は、11月13日(金)までにほぼ出そろいます。そのあとで、この記事の予想を答え合わせします。
この決算期の答え合わせの対象の始まり
この日から11月13日までに発表された決算を数える
3月期決算の会社の4〜9月の決算がほぼ出そろう
カプコンと同じ7〜9月の3か月の決算
予想を10%超下回った決算の2日
10月29日〜11月13日に発表された決算の、業種の株との差の真ん中
下げた決算の、その後の約1か月
業種の株より上に戻った割合が6割を超えるか
10〜12月の決算がほぼ出そろう
同じ数え方で、次の決算期も数える
予想:この決算期も、予想を大きく下回った決算は下げる
10月29日から11月13日までに発表される決算のうち、1株利益が市場の予想を10%超下回った決算は、発表をはさんだ2日の業種の株との差の真ん中がマイナスになると見ています。
前例では、4回の決算期すべてで、予想を10%超下回った決算の2日の真ん中が業種の株より下でした。同じ決算期の、予想を10%超上回った決算は、すべてプラスです。
外れるのは、この決算期に発表された、予想を10%超下回った決算の2日の真ん中が、業種の株との差でプラスになったときです。11月17日に、10月29日から11月13日までに発表された決算で数えます。
で、儲かるのか
株価が比べていたのは、去年の利益ではなく市場の予想でした。増益でも予想に届かなければ3社に2社が下げ、その値動きは発表の2日で終わっていました
好決算なのに下げた株を「売られすぎ」と見て拾っても、その後の1か月は業種の株と半々でした。予想との差で動く大きさは業種で違い、電機・精密や鉄鋼・非鉄では大きく、食品ではほとんど動きません。下げた理由は、ニュースの「増益」ではなく、市場の予想との比べで確かめます。
増益でも、予想を下回った
↓65%が業種より下げた
その後の約1か月
→業種より上は54%=半々
予想との差の効き方
⇅電機・精密は大きく食品はほぼ無い
情報源
- 市場の予想と1株利益の実績:Yahoo Financeの各社の決算の実績と予想(earningsHistory。直近4四半期、2026年10月29日に取得)
- 決算の数字と発表日:株探(各社の「3か月決算【実績】」の表、2026年10月29日に取得)。対象はTOPIXのCore30・Large70・Mid400・Small 1の969社(東証の上場銘柄一覧の規模区分)
- カプコンの決算の報道:株探(MINKABU PRESS・フィスコ、2026年10月27日・28日)
- 株価:Yahoo Financeの日次終値。業種の株=東証の17業種のETF(NEXT FUNDS TOPIX-17シリーズ)。業種の分け方は東証の上場銘柄一覧の17業種区分
- 計算:発表をはさんだ2日=発表日の前の取引日の終値→発表日の次の取引日の終値の、業種ETFとの差。その後の約1か月=発表日の次の取引日の終値から20営業日の、業種ETFとの差。予想との差=(1株利益の実績−予想)÷予想。決算の前の上げ=発表日の前の取引日までの20営業日の業種ETFとの差。増益の大きさ=3か月の経常利益(無い会社は営業利益)の前年比(前の年が赤字の回は数えていない)
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