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株式分割とは?1株が分かれると何が変わるのかをやさしく解説

2026.06.26 ・ 執筆:フクリ 2026.07.29 更新
株式分割とは?1株が分かれると何が変わるのかをやさしく解説

「1株を3株に分割します」——こんなニュースを見て、「株が増える=資産が増える?」と思った方、ちょっと待ってください。

この記事では2つのことを書きます。①分割で資産は増えない(ここは有名です)。そして②いま分割がこれほど増えているのは、会社が好調だからではなく、東証が要請しているからです。②を知らないと、分割のニュースを読み違えます。

株式分割とは?

株式分割とは、1つの株を細かく分けて、株数を増やすことです。「1株→3株」なら株数が3倍になります。ただし——その分、1株あたりの値段は下がるので、持っている資産の合計額は基本的に変わりません

分割前1株 9,000円 × 1株 = 9,000円
3分割後1株 3,000円 × 3株 = 9,000円
株式分割は「ケーキを切り分ける」イメージ。ピースは増えるが、ケーキ全体(資産)の大きさは変わらない。

会社全体の値段である時価総額も、分割では1円も変わりません。株価が半分になっても値下がりではなく、1切れが小さくなっただけです。

なぜ分割するの?──本当の理由

「買いやすくするため」というのが教科書的な答えです。それは正しいのですが、2022年以降に分割が急増している理由は、もっとはっきりしています。東証が要請しているからです。

時期東証の要請内容
2022年10月27日投資単位が50万円以上の会社に対し、引き下げの検討を要請
2025年望ましい水準は引き続き50万円未満としつつ、個人投資家が求める10万円程度という水準を示し、分割の検討を促した

日本株は100株単位(1単元)で売買するのが基本です。株価が5,000円なら、最低でも50万円必要になります。これが個人にとって高い壁になっていました。東証が個人投資家に調査したところ、望まれる水準は10万円程度でした。

そこで会社は株式分割で1株の値段を下げ、最低投資金額を引き下げています。その結果がこちらです。

東証の要請で、最低投資金額の引き下げが進んだ
投資単位の引き下げ状況と株式分割の件数 投資単位が50万円未満の上場会社(2026年3月31日時点) 93.4% 残り6.6%はまだ50万円以上 株式分割を決議した会社(2025年4月〜2026年2月) 約7割が「10万円台」を狙った引き下げ その他 合計 266社 出典:日本取引所グループ「投資単位の引下げに関する状況」(2026年3月)。REIT・外国株・TOKYO PRO Marketを除く
2025年4月からの11か月で266社が株式分割を決議し、投資単位50万円未満の会社は93.4%に達した。分割は珍しい出来事ではなくなっている。

2025年4月から2026年2月までのわずか11か月で、266社が分割を決議しました。そのうち約7割が、投資単位を10万円台にすることを狙ったものです。なお、東証は2026年7月28日にも、投資単位が50万円以上の会社へ引き下げを改めて要請しています。

分割で何が変わるか、変わらないか

分割で変わるもの分割で変わらないもの
株数増える(3分割なら3倍)
1株の値段下がる(3分割なら3分の1)
資産の合計変わらない
会社の時価総額変わらない
会社の業績変わらない
最低投資金額下がる
議決権個数は株数に応じて増える総議決権に占める割合は変わらない

とくに注意したいのが株主優待です。分割で株数が増えると、優待をもらうのに必要な株数の条件が変更されることがあります。実質的に条件が緩くなる場合も、厳しくなる場合もあるので、株主優待を目的に持っているなら、分割の発表と同時に優待の変更がないか確認してください。

配当も同様に、1株あたりの金額は分割に合わせて調整されるのが通常です(受け取る総額は変わらない)。くわしくは配当金をどうぞ。

分割の日程──いつ株数が増えるのか

発表から実際に株数が増えるまでには、決まった流れがあります。ここを知らないと「発表されたのに株数が増えない」と戸惑います。

段階何が起きるか注意点
①分割の発表会社が「◯月◯日を基準に1株を◯株に分割する」と公表この時点では何も変わらない
②権利付最終日この日までに買えば分割の対象になる約定日と受渡日のズレがあるため、基準日の当日に買っても間に合わない
③権利落ち日株価が分割後の水準に切り替わる株価が急に下がったように見えるが、値下がりではない
④効力発生日実際に株数が増える証券口座への反映は数日かかることがある

初心者がいちばん驚くのは③の権利落ち日です。3分割なら、チャート上では株価が3分の1になります。何も知らずに口座を見ると暴落したように見えますが、同時に株数が3倍になっているので損はしていません。証券会社のチャートは通常この調整後の値に直されますが、切り替わりの当日は面食らうものです。

なお分割される前に売ってしまえば、当然対象になりません。逆に、分割目当てで権利付最終日ぎりぎりに買う必要もありません。分割で得をするわけではないからです。

フクリの見方

編集部の立場を書きます。株式分割のニュースを「好材料」として受け取るのは、もう時代遅れです。

理由は単純で、珍しくなくなったからです。2025年4月からの11か月で266社。投資単位50万円未満の会社はすでに93.4%に達しました。かつて分割は「株価が上がりすぎたので調整する」という、業績好調の裏返しとして読まれることがありました。しかし今の分割の背景には、東証からの働きかけがあります。要請を受けて動いた会社が相当数あるとみられ、業績のシグナルとして読むのは筋が悪くなっています(個社ごとの分割理由を集計した公表資料はないため、ここは編集部の見立てです)。

そのうえで、編集部の見方は3点です。

  • 1株が安くなったことを「割安」と読まない。値段が下がっただけで、会社の価値は1円も変わっていません。割安かどうかはPER・PBRなど別のものさしで見ます
  • 買いやすさが増えるのは、素直に良いこと単元未満株を使わなくても手が届く銘柄が増え、NISAの非課税枠も使いやすくなります
  • 見るべきは分割ではなく中身。分割は入り口の話です。決算を見て、長く付き合えるかを判断してください

この見方が外れるとしたら、投資単位の引き下げがほぼ完了して分割が再び珍しくなったときです。93.4%という数字は、その日が近いことを示しています。残り数%が済めば、分割はまた別の意味を持つ出来事に戻るかもしれません。

逆に「株式併合」というものもあります

分割の反対に、複数の株を1つにまとめる株式併合という手続きもあります。「10株を1株に」といった形です。

株式分割株式併合
株数増える減る
1株の値段下がる上がる
資産の合計変わらない変わらない
よくある目的最低投資金額を下げる単元未満株の整理、上場維持基準への対応

併合でも資産の合計は変わりません。ただし株数が減るため、1株に満たない端数が出ることがあります。たとえば155株を10株→1株で併合すると15.5株となり、この0.5株の部分が現金で精算されます。なお15株のように1株以上あれば端数ではなく、100株に満たない単元未満株として保有が続きます(単元未満株は市場でそのまま売買できず、証券会社を通じた買取請求などの手続きが必要です)。

日本では東証の要請もあって分割のほうが圧倒的に多いのですが、併合のニュースを見て「株数が減った=損した」と誤解しないよう、しくみだけ知っておくと安心です。

まとめ(3行)

  • 株式分割は、1株を細かく分けて株数を増やすこと。1株の値段は下がり、資産合計も時価総額も変わらない
  • いま分割が多いのは、東証が投資単位の引き下げを要請しているから。2025年4月からの11か月で266社が決議し、投資単位50万円未満の会社は93.4%に達した。
  • したがって分割を業績の好材料として読むのは筋が悪い。優待条件の変更に注意し、割安かどうかは別のものさしで判断を。

情報源

免責事項

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の投資勧誘や投資助言を行うものではありません。投資にともなう最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。記載内容の正確性には努めていますが、その完全性・将来の結果を保証するものではありません。

フクリ
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