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アンソロピックの株は上場の日に買えば得? 米国の大型上場は、初値で買うと半年後に15社中13社がS&P500に負けた

2026.11.08
アンソロピックの株は上場の日に買えば得? 米国の大型上場は、初値で買うと半年後に15社中13社がS&P500に負けた

📌 この記事は公開情報(アンソロピックが米国の証券取引委員会に出した上場の書類、各社の発表、報道、市場データ)にもとづく情報提供・解説であり、特定の銘柄の売買や上場の株への申し込みを勧めるものではありません。数値は特記なき限り2026年11月6日時点のものです。

米国のAI企業アンソロピック(Anthropic)が、米国のナスダック市場への上場の手続きを進めています。対話のAI「Claude(クロード)」をつくる会社で、2026年1〜9月の売上は前の年の同じ期間の約13倍になりました。

この上場では、日本の個人も申し込めます。日本で売り出す株は最大で約5,529億円で、みずほ証券などが扱います(ロイター)。6月に上場したスペースXも、日本で売り出されました。

抽選に当たって公開価格で買えたら得なのか。上場の日に初値で買ったらどうなるのか。米国の大型上場16社の前例で数えました。

前例では、上場の得は、抽選などで公開価格で買えた人の上場の日に集まっています。初値は16社中14社で公開価格を上回りましたが、初値で買った人は、半年後に15社中13社でS&P500に負けました。調達額が80億ドルを超える超大型の4社は、1年後に4社とも公開価格を下回っています。アンソロピックの初値は公開価格を上回ると見ていますが、初値で買った場合は、半年後にS&P500に負けていると見ています。

初値は16社中14社が公開価格を上回った

米国の大型上場では、上場の日に最初についた値段(初値)が、抽選などで買う人の値段(公開価格)を上回るのがふつうでした。16社中14社で、上げ幅の真ん中は+28.5%です。

公開価格は、上場の前に、証券会社が投資家の注文を集めて決める値段です。日本の個人は、この値段で買える株を抽選などで受け取ります。初値は、上場の日に取引所で最初についた値段です。

数えたのは、2012年から2026年10月までに米国の取引所に上場し、株を売り出した額(調達額)が30億ドル以上だった会社です。上場のためだけにつくった会社との合併や、株を売り出さない上場、すでにほかの国で上場している会社の株(7月に米国で取引が始まった韓国のSKハイニックスなど)は入れていません。17社のうち、2023年に上場したケンビューは、買収されて上場をやめ、株価の記録が取れないので外しました。

初値が公開価格を下回ったのは、2019年のウーバーだけです。2014年のシチズンズ・フィナンシャルは、初値が公開価格と同じでした。

上場の日の終値で見ると、公開価格を上回ったのは16社中15社でした。公開価格で買えた人が上場の日に売っていれば、前例ではほとんどが得をしています。

初値で買うと、半年後に15社中13社がS&P500に負けた

上場の日に初値で買った人は、前例では多くがS&P500に負けています。120営業日(約半年)たつと、同じお金でS&P500を買っていた場合に負けたのは15社中13社でした。

S&P500は、米国の大きな会社500社の株価をまとめた指数です。日本でも、S&P500に連動する投資信託は新NISAで人気があります(S&P500と全世界株の記事)。

勝ったのは、アームとシチズンズ・フィナンシャルの2社だけです。アームは、AIの半導体の需要で利益が大きく伸びた会社です。15社の差の真ん中は、−36.7ポイントでした。

買い方と売るときで分けると、次のようになります。

買い方と売るとき前例の数真ん中
公開価格で買い、上場の日の終値で売る16社中15社で公開価格より上+33.6%
初値で買い、20営業日後16社中6社がS&P500に勝った−3.8ポイント
初値で買い、120営業日後15社中2社がS&P500に勝った−36.7ポイント
初値で買い、250営業日後13社中3社がS&P500に勝った−36.7ポイント
公開価格で買い、250営業日持つ13社中5社がS&P500に勝った−11.4ポイント

公開価格で買えた人でも、1年(250営業日)持ち続けると、S&P500に勝ったのは13社中5社です。

日本の新規上場でも同じ形でした。上場の日の値上がりは抽選に当たった人のもので、初値で買った人は、3か月後に3件に2件が市場より下げています(日本の新規上場307社の記事)。

超大型の上場は、1年後に4社とも公開価格を割った

調達額が80億ドルを超える超大型の上場では、1年後に4社とも公開価格を下回りました。日本でも売られたスペースXは、5か月で公開価格を割っています。

アンソロピックが売り出す額は、まだ決まっていません。米国の調査会社ルネサンス・キャピタルは、全体で約750億ドルと見ています。スペースXと同じ大きさです。

会社(上場した年)初値(公開価格との比べ)1年後(公開価格との比べ)
フェイスブック(2012年)+10.7%−32.2%
アリババ(2014年)+36.3%−2.9%
ウーバー(2019年)−6.7%−31.3%
リビアン(2021年)+36.9%−59.2%
スペースX(2026年)+11.1%−0.5%(約5か月)

1年後は250営業日後の終値です。フェイスブックとアリババは、その後の数年で公開価格を大きく上回りました。1年で見るか、数年で見るかで、答えは変わります。

スペースXの公開価格は135ドルで、日本の投資家は約22億ドル分を買いました(ロイター)。初値は150ドルで、上場から3営業日目の6月16日には211.39ドルまで上げましたが、その後は下げています。円で見ると、円高の分も加わり、11月6日には公開価格から約2%、初値から約12%の下げです。

次の山場は11月16日の週の値決め

アンソロピックの公開価格は、11月16日の週に決まる見込みです(米国の調査会社ルネサンス・キャピタル)。日本での抽選の日程は、各証券会社が案内します。

アンソロピックは10月26日に、上場の書類を米国の証券取引委員会に公開で出しました。ナスダックへの上場を申請していて、記号は「ANT」です。11月2日の修正版には、日本などでも公募をすると書かれています。

日本での売り出しは、みずほ証券がまとめ、ゴールドマン・サックス証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、モルガン・スタンレーMUFG証券などが申し込みを受けます(ロイター)。SBI証券と楽天証券も受け付けると案内しています。みずほ証券の案内では、条件を決める日は「2026年11月から2027年4月までのいずれかの日」です。

上場の書類によると、2026年1〜9月の売上は332億ドルでした。本業の損益(営業損益)は13億ドルの赤字で、前の年の同じ期間から赤字が縮んでいます。

11月9の週
説明

投資家への説明(ロードショー)が始まる見込み

公開価格の仮の幅が、修正版の書類に入る

11月16の週
答え合わせ山場

公開価格が決まり、上場する見込み

  1. 公開価格
  2. 初値
  3. 日本で売り出した額
2027年5月ごろ
売れない期間

多くの株主が株を売れるようになる

1〜3月期の決算の2営業日後か、上場から180日の早いほう

上場の前からの株主は、上場してしばらくは株を売れません(ロックアップ)。創業者と、0.5%を超えて持つ株主は、2027年7〜9月期の決算の後か、上場から365日の早いほうまで売れません。

予想:アンソロピックの初値は公開価格を上回る

上場の日、アンソロピックの初値は公開価格を上回ると見ています。

理由は前例です。16社中14社、調達額80億ドル超の5社でも4社で、初値は公開価格を上回りました。

大きく上回って公開価格の1.3倍を超えた場合、前例の8社は、半年後に8社ともS&P500に負けています。下に外れるのは、ウーバーのように公開価格を割る場合です。値決めの前に、11月5日の米国のようにAI株が大きく売られる日が続けば、その形に近づきます。

初値で買った場合は、120営業日後(2027年5月ごろ)にS&P500に負けていると見ています。前例の15社中13社がそうでした。

で、儲かるのか

この記事の答え

前例では、上場の得は、公開価格で買えた人の上場の日に集まっています。初値で買った人は、半年後に15社中13社でS&P500に負けました。超大型の4社は1年後に4社とも公開価格を下回り、日本でも売られたスペースXは5か月で公開価格を割りました。アンソロピックの初値は公開価格を上回ると見ていますが、初値で買った場合は、半年後にS&P500に負けていると見ています

外れるのは、アームのように上場のあとも利益が大きく伸び続ける場合です。比べる相手は、同じお金でS&P500を買っていた場合です。

公開価格で買い、上場の日に売る

終値が公開価格より上

↑16社中15社
初値で買って半年

S&P500に負けた

↓15社中13社
超大型の1年後

公開価格を下回った

↓4社中4社

情報源

  • アンソロピック(Anthropic, PBC)「Form S-1/A(Amendment No. 1)」(2026年11月2日・米国証券取引委員会のEDGAR)=ナスダックへの上場の申請・記号ANT、日本などでの公募を含むこと、2026年1〜9月の売上332億ドル(前年同期25億ドル)・営業損失12.6億ドル(前年同期52.2億ドル)、7〜9月の売上170億ドル、売れない期間(ロックアップ)の決まり、主幹事22社(みずほ・MUFGを含む)
  • Renaissance Capital「AI model developer Anthropic PBC files for an estimated $75 billion IPO」(2026年10月26日)=公開の上場書類の提出日、ロードショーは11月9日の週・値決めは11月16日の週の見込み
  • ロイター「Anthropic plans to sell $3.5 billion of shares to Japan investors in IPO, filing shows」(2026年11月2日)=日本での売り出しの上限5,529億円(35億ドル)、みずほ証券・ゴールドマン・サックス証券・三菱UFJモルガン・スタンレー証券・モルガン・スタンレーMUFG証券、スペースXでは日本の投資家が750億ドルのうち22億ドル分
  • ビジネスインサイダー・ジャパン「アンソロピックIPO」の解説(2026年11月4日)=みずほ証券・SBI証券・楽天証券の案内、条件決定日は2026年11月〜2027年4月のいずれかの日(みずほ証券のサイト)
  • 公開価格と調達額:各社の発表と報道(フェイスブック38ドル・アリババ68ドル・シチズンズ・フィナンシャル21.50ドル・スナップ17ドル・ウーバー45ドル・スノーフレーク120ドル・ドアダッシュ102ドル・エアビーアンドビー68ドル・クーパン35ドル・ディディ14ドル・リビアン78ドル・アーム51ドル・リネージュ78ドル・メドライン29ドル〔メドラインの発表・2025年12月16日〕・セレブラス185ドル・スペースX135ドル)、2026年の上場の一覧(interactive investor・2026年10月30日)
  • スペースXの公開価格割れ:ロイター(ニューズウィーク日本版・2026年7月16日)
  • 株価・指数:Yahoo Financeの日々の始値・終値(上場日から2026年11月6日まで・S&P500指数・円ドル)。初値=上場日の始値。初値で買った場合はS&P500も上場日の始値から、公開価格で買った場合はS&P500の上場日の前日の終値から数えた。配当は含めない
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本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の投資勧誘や投資助言を行うものではありません。投資にともなう最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。記載内容の正確性には努めていますが、その完全性・将来の結果を保証するものではありません。

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フクリ Fukuri編集部のナビゲーターです。海外の投資・経済ニュースを、一次情報にあたって日本の読者向けにまとめています。記事の企画・編集・公開の責任は、運営責任者が負っています。
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