新規上場(IPO)株の初値買い、市場に負けたのは情報・通信とサービス 業種別に見た307社と10月15日のルクレ

📌 この記事は公開情報(日本取引所グループの新規上場会社情報、各社の会社概要、市場データ)にもとづく情報提供・解説であり、特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。数値は特記なき限り2026年10月9日時点のものです。
🔄 2026年11月6日に更新しました。 estieは11月6日に上場し、初値は1,015円で、公開価格1,100円の0.92倍でした。その日の終値は925円で、初値から8.9%下げています。同じ日の東証グロース市場の株(東証グロース市場250指数連動ETF)は、始値から終値まで0.6%の下げでした。この日は日経平均が6.0%下げた日です。予想(3か月後にはグロース市場の株より下げている)の答え合わせは、2027年2月4日に行います。
🔄 2026年11月4日に更新しました。 Allganize Holdingsは11月4日に上場し、初値は1,351円で、公開価格1,260円の1.07倍でした。その日の終値は1,250円で、初値から7.5%下げ、公開価格も下回っています。同じ日の東証グロース市場の株(東証グロース市場250指数連動ETF)は、始値から終値まで1.6%の下げでした。予想(3か月後にはグロース市場の株より下げている)の答え合わせは、2027年2月2日に行います。
🔄 2026年11月3日に更新しました。 MabGenesisは11月2日に上場し、初値は763円で、公開価格830円の0.92倍でした。その日の終値は696円で、初値から8.8%下げています。同じ日の東証グロース市場の株(東証グロース市場250指数連動ETF)は、始値から終値まで0.2%の下げでした。記事では、医薬品のMabGenesisは前例からは向きを言い切れないとしています。
🔄 2026年10月30日に更新しました。 トグルホールディングスは10月30日に上場し、初値は3,760円で、公開価格4,040円の0.93倍でした。その日の終値は3,640円で、その日の安値です。記事では、不動産のトグルホールディングスは前例が少なく、向きを言い切れないとしています。
🔄 2026年10月20日に更新しました。 ルクレは10月15日に上場し、初値は2,030円で、公開価格1,480円の1.37倍でした。その日の終値は2,276円です。予想(3か月後にはグロース市場の株より下げている)の答え合わせは、2027年1月14日に行います。
新規上場(IPO)した株は、初値で買ったあとも人気の勢いで上がり続けるのでしょうか。
この記事の予想は、ルクレなど情報・通信の会社を初値で買えば、数か月後にはグロース市場の株より下げている、というものです。前例で下げが目立ったのは情報・通信とサービスで、小売や不動産では上げた株と下げた株が半々でした。
初値で買った株は、3か月後に3件に2件が市場より下げた
2022〜2025年に上場した株を初値で買うと、3か月後には3件に2件がグロース市場の株より下げていました。抽選に当たって公開価格で買えた人とは、勝ち負けが逆でした。
新規上場の株には、値段が2つあります。上場の前に証券会社が抽選などで配る値段(公開価格)と、上場の日に市場で最初についた値段(初値)です。公開価格で買えるのは抽選に当たった人などに限られ、多くの人は初値か、そのあとの値段で市場から買います。
数え方はこうです。日本取引所グループの新規上場の一覧から、2022〜2025年に上場した会社を全部集めました。公開価格があり株価が残っている307社について、初値で買った場合の値動きを、同じ期間のグロース市場の株価指数と比べました。
日本の株全体(TOPIX)と比べても、何とも比べずに値動きだけで見ても、下げた株のほうが多いという答えは同じでした。ただし、これは業種をまとめた数字です。業種で分けると、下げ方には大きな差がありました。
業種で分けると、下げたのは情報・通信とサービス
情報・通信の会社は、初値で買うと3か月後に7割、半年後に8割近くが市場より下げていました。小売や不動産では、3か月後に上げた株と下げた株がほぼ半々でした。
上場した会社を、東証の33業種で分けました。2022〜2025年に上場した会社の3分の2は、情報・通信とサービスでした。
情報・通信は、業種が同じ大きな会社の株価指数(TOPIX-17業種別のETF)と比べても、7割が下げました。市場全体や業種全体の動きだけでは説明できない下げです。
メーカーは、市場より上げた会社が4割ありました。キオクシアホールディングスやKOKUSAI ELECTRIC、ソシオネクストなど、半導体に関わる会社が大きく上げています。小売は3か月後こそ半々でしたが、半年後には下げた株のほうが多くなりました。
下げは上場の日から半年まで続きました。区間を分けても、どこでも市場より下げています。情報・通信は、4年とも同じ向きでした。
初値が公開価格の2倍以上で始まった株は、情報・通信でもサービスでも、そのほかの業種でも大きく下げました。情報・通信では、公開価格を割って始まった株まで下げています。
同じ株でも、公開価格で買えた人から見ると、2倍以上の株はほとんどがプラスのままです。初値の上乗せは、抽選に当たった人の取り分でした。
関連企業と日本の接点
10月15日のルクレから11月10日のRECEPTIONISTまで、グロース市場への上場が6社続きます。うち4社が情報・通信です。
| 上場の日 | 会社(市場:コード) | 業種と事業 | 公開価格 |
|---|---|---|---|
| 10月15日(木) | ルクレ(東証グロース:648A) | 情報・通信業。写真を記録する端末・アプリとAIのクラウド。工事写真の「蔵衛門」が主力 | 1,480円(仮条件の上限)。初値2,030円(1.37倍) |
| 10月30日(金) | トグルホールディングス(東証グロース:652A) | 不動産業。AIを使った再開発向けの土地の仕入れ・販売と、AIエージェントの開発 | 4,040円。初値3,760円(0.93倍) |
| 11月2日(月) | MabGenesis(東証グロース:653A) | 医薬品。ペット向けの抗体医薬品の研究開発 | 830円。初値763円(0.92倍) |
| 11月4日(水) | Allganize Holdings(東証グロース:656A) | 情報・通信業。企業の業務を自動化するAIエージェント・生成AIの基盤 | 1,260円(仮条件の上限)。初値1,351円(1.07倍) |
| 11月6日(金) | estie(東証グロース:658A) | 情報・通信業。商業用不動産のデータベースを使ったデータの提供 | 1,100円(仮条件の上限)。初値1,015円(0.92倍) |
| 11月10日(火) | RECEPTIONIST(東証グロース:660A) | 情報・通信業。クラウドの受付システム「RECEPTIONIST」 | 850円(仮条件の上限) |
6社とも上場の前のため、株価はまだありません。今年すでに上場した会社でも、情報・通信は前例と同じ動きです。
今年の医薬品の2社は、どちらも市場より大きく下げました。上場する会社の多くは時価総額の小さな会社で、1社の結果は振れ幅が大きくなります。
次の山場は10月15日(木)のルクレの初値
最初の山場は、10月15日(木)にルクレの初値がつく日です。11月にかけて、情報・通信の会社の上場が続きます。
ルクレ以外の5社の公開価格は、これから決まります。ルクレは、投資家が買いたい値段と株数を申し込む期間(9月29日〜10月2日)のあとに決まりました。
予想:情報・通信の4社は、初値で買えば3か月後に市場より下
ルクレ・Allganize Holdings・estie・RECEPTIONISTの4社は、初値で買えば、3か月後にはグロース市場の株より下げている見込みが高いと見ています。トグルホールディングスとMabGenesisは、前例からは向きを言い切れません。
予想の理由は3つです。
- 情報・通信は4年とも同じ向きだった:2022年から2025年まで、どの年も、市場より下げた株のほうが多くなりました。今年上場した会社も同じです。
- 初値が何倍でも下げた:情報・通信では、公開価格を割って始まった株も、2倍以上で始まった株も下げました。ルクレの初値がいくらで始まっても、前例は下げを示しています。
- 半年たつと、上位の会社まで市場より下だった:情報・通信の前例では、半年後には上位4分の1の会社でも市場より下でした。
トグルホールディングスの不動産は、前例が10社と少なく、同じ業種の株価指数と比べると上げた株と下げた株が半々でした。MabGenesisの医薬品は、前例の11社中7社が下げましたが、数が少なく言い切れません。
で、儲かるのか
情報・通信の新規上場株は、初値で買うと市場より下げる見込みです
上場の日の値上がりは、抽選に当たった人のものです。情報・通信は前例で7割が、3か月後に市場より下げました。
ルクレなど情報・通信の4社を初値で買う
↓市場より下げる
医薬品のMabGenesisを初値で買う
↓下げが多い
不動産のトグルHDを初値で買う
→前例は半々
情報源
- 前例の集め方:日本取引所グループ「新規上場会社情報」(2022〜2026年の一覧)から、2022年1月〜2025年12月に上場した364社を集めた。公開価格がある324社のうち、上場廃止などで株価が残っていない16社と、初値の日が読めない1社を除いた307社を数えた
- 数え方:初値=Yahoo Financeの日次株価で、上場の日以後に初めて売買が成立した日の始値(上場の日に売買の記録がない30社は、次に売買が成立した日)。公開価格は、上場のあとの株式分割の分だけ割ってそろえた。グロース市場の株価指数=東証グロース市場250指数に連動するETF(2516)、日本の株全体=TOPIX連動ETF(1308)。どちらも初値の前の営業日の終値からの値動きを差し引いた。株価は配当を含まない
- 業種:日本取引所グループ「東証上場銘柄一覧」(2026年8月末)の33業種。メーカー=電気機器・精密機器・化学・機械・食料品・その他製品・繊維製品・金属製品・輸送用機器・非鉄金属・パルプ・紙、小売・卸売=小売業・卸売業、不動産・建設=不動産業・建設業、金融=銀行業・保険業・証券、商品先物取引業・その他金融業。ほかに電気・ガス業・陸運業・空運業が1社ずつ。同じ業種の比べる相手は、TOPIX-17業種別のETF(1617〜1633)
- 初値の確かめ:キオクシアホールディングス(1,440円)・GENDA(1,637円)・AeroEdge(5,860円)などは報道の初値と一致した。SBI新生銀行はYahoo Financeの上場の日の株価が壊れていたため、報道の初値1,586円と初日の終値1,623円を使った(秋田魁新報・共同通信、2025年12月17日)
- 2026年に上場した会社:同じ一覧から、2026年1月〜10月9日に上場した31社(株価は10月9日の終値まで)
- これから上場する6社:日本取引所グループ「新規上場会社情報」と各社の会社概要(業種と事業の内容、2026年10月10日時点)、野村證券「株式会社ルクレ 新規上場に伴う株式募集・売出しのご案内」(公開価格と申し込みの期間)。「蔵衛門」がルクレの登録商標であることは、ASCIIの製品発売の記事(2020年10月19日)による
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