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新NISAの「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の違い──実際のお金は成長投資枠に3.5倍流れている

2026.06.24 ・ 執筆:フクリ 2026.07.30 更新
新NISAの「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の違い──実際のお金は成長投資枠に3.5倍流れている

NISAを始めようとすると、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」という2つの言葉が出てきて戸惑いますよね。

この記事では2つの枠の違いを整理したうえで、世の中の人が実際にどちらをどれだけ使っているのかを、金融庁の統計で確認します。よく言われる「初心者はつみたて投資枠から」という説明とは、少し違う景色が見えてきます。

新NISAには2つの枠がある

2024年に新しくなったNISAでは、1つの口座の中に性格の違う2つの枠が用意されています。どちらも利益が非課税になる点は同じです。

つみたて投資枠:コツコツ積み立て向き

  • 年間の上限:120万円。
  • 買える商品:金融庁の基準を満たした、長期・積立・分散に向く投資信託などに限られます。
  • 特徴ドルコスト平均法で毎月コツコツ積み立てるのに向いた枠です。対象商品があらかじめしぼり込まれているので、初心者でも選びやすいのが利点です。

しぼり込みは、かなり厳格です。金融庁は対象となる指定インデックス投資信託に信託報酬の上限を定めており、国内資産を対象とするものは年0.5%以下、海外資産を含むものは年0.75%以下でなければなりません。コストの高い商品は、そもそも入れない仕組みになっています。

成長投資枠:幅広い商品を買える

  • 年間の上限:240万円。
  • 買える商品:上場株式や、より幅広い投資信託など(一部対象外の商品もあります)。
  • 特徴:個別株や全世界株・S&P500など、選べる幅が広いのが魅力。つみたて投資枠と併用できます

非課税の上限

2つの枠を合わせて、年間で最大360万円まで投資できます。さらに生涯にわたる非課税の保有限度額が1,800万円(うち成長投資枠で使えるのは1,200万円まで)と決まっています。

実際にどちらが使われているのか

ここからが本題です。「初心者はつみたて投資枠から」とよく言われますが、実際にお金が入っているのはどちらでしょうか。

金融庁が公表している2025年12月末時点の統計を見てください。

NISA買付額の内訳(2025年12月末・金融庁) 約55.6兆円 約15.8兆円 成長投資枠 つみたて投資枠 出典:金融庁「NISA口座の利用状況に関する調査結果(2025年12月末時点)」。旧制度分を含む累計の買付額
図:NISAの買付額の内訳。成長投資枠がつみたて投資枠のおよそ3.5倍です。⚠️これは2014年からの旧制度分を含む累計で、旧NISA(一般NISA)の買付額は成長投資枠の側に集計されています。

全体の数字も押さえておきましょう。

項目2025年12月末時点
NISA口座数2,821万口座(2,820万6,434口座)
買付額の累計71兆円
うち成長投資枠約55.6兆円
うちつみたて投資枠約15.8兆円

ここで面白いのは、政府目標との関係です。政府は2027年12月末までに「口座数3,400万・買付額56兆円」を目標に掲げていました。買付額はすでに71兆円で、目標を大きく超えています。一方、口座数は2,821万でまだ目標に届いていません。

つまり、口座を開いた人の数は想定ほど伸びていないのに、一人ひとりが入れている金額は想定を上回っているということです。NISAは「幅広く行き渡った」というより、いまのところ「使う人がしっかり使っている」制度になっています。

使っているのは誰か

年代別の口座数の割合も公表されています。

年代口座数の割合
50歳代19.6%
40歳代19.1%
30歳代17.5%
60歳代14.8%
20歳代11.9%
70歳代10.9%
10歳代0.5%

最も多いのは50歳代で、40歳代・30歳代が続きます。20歳代は11.9%にとどまります。「NISAは若い世代のもの」というイメージがありますが、実際には40〜50歳代が中心です。

これは、まとまった資金を持ち、老後が現実的な視野に入る世代がNISAを使っている、という自然な結果とも読めます。ただし、複利の効果は時間が長いほど効きます。若い世代ほど有利な制度なのに、その世代の利用が最も少ないという構図が、数字には表れています。

フクリの見方:数字を知ったうえで、それでも「つみたて投資枠から」

編集部の立場を書きます。実際のお金は成長投資枠に3.5倍流れていますが、それでも最初はつみたて投資枠から始めることをおすすめします。

理由は2つあります。

第一に、この3.5倍という数字は「成長投資枠のほうが良い」ことを意味しないからです。旧NISA(一般NISA)の買付額が成長投資枠の側に集計されているうえ、年間の上限額そのものが240万円対120万円と2倍違います。枠が大きいほうに金額が寄るのは、制度の設計上あたりまえです。

第二に、そして本質的な理由として、つみたて投資枠は「選べない」ことが利点だからです。金融庁が信託報酬の上限を定め、長期・積立・分散に向く商品だけを残している。自分でコストの高い商品を掴む余地がそもそもありません。 一方、成長投資枠は自由度が高いぶん、選択の責任が全部自分に返ってきます。投資を始めたばかりの段階で、その自由は助けよりも負担になりやすい。

この見方が外れるとしたら、次の場合です。①すでに個別株の分析ができ、買いたい銘柄が具体的にある人には、成長投資枠のほうが素直です。②配当を受け取りながら運用したい人も、投資信託中心のつみたて投資枠では実現しにくいので、成長投資枠を使うことになります。「初心者だから」ではなく「何をしたいか」で選べる段階なら、順番にこだわる必要はありません。

まとめ(3行)

  • 新NISAは「つみたて投資枠(年120万円)」と「成長投資枠(年240万円)」の2つ。合わせて年360万円、生涯1,800万円(成長枠は1,200万円まで)が上限。
  • 実際の買付額は成長投資枠 約55.6兆円に対し、つみたて投資枠 約15.8兆円(2025年12月末・累計)。ただし枠の大きさも旧制度分の集計も違うので、優劣の話ではない。
  • 迷ったらつみたて投資枠から。商品がしぼり込まれ、コストの高いものを掴む余地がないことが、最初の段階では最大の利点。

情報源・参考

  • 金融庁「NISA口座の利用状況に関する調査結果(2025年12月末時点)」:fsa.go.jp(NISA口座数28,206,434口座、買付額の合計71兆3,847億円、うち成長投資枠55兆6,332億円・つみたて投資枠15兆7,515億円、年代別の口座数割合)
  • 金融庁「NISAの利用状況(グラフ)」:fsa.go.jp(政府目標=2027年12月末までに口座数3,400万・買付額56兆円)
  • 金融庁「つみたて投資枠対象商品」:fsa.go.jp(指定インデックス投資信託の信託報酬の上限=国内0.5%以下・海外を含むもの0.75%以下)
  • 金融庁「NISA特設ウェブサイト」:fsa.go.jp/policy/nisa2
免責事項

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の投資勧誘や投資助言を行うものではありません。投資にともなう最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。記載内容の正確性には努めていますが、その完全性・将来の結果を保証するものではありません。

フクリ
フクリ Fukuri編集部のナビゲーターです。海外の投資・経済ニュースを、一次情報にあたって日本の読者向けにまとめています。記事の企画・編集・公開の責任は、運営責任者が負っています。
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