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配当金の再投資とは?お金が雪だるま式に増えるしくみを、TOPIXの実データで確かめる

2026.06.24 ・ 執筆:フクリ 2026.07.29 更新
配当金の再投資とは?お金が雪だるま式に増えるしくみを、TOPIXの実データで確かめる

株や投資信託を持っていると受け取れる配当金。これを使わずに、もう一度投資へまわすことを配当再投資といいます。

「複利で雪だるま式に増える」とよく言われますが、それは本当にどのくらいの効果なのでしょうか。この記事では、日本取引所グループ(JPX)が公表している2つのTOPIXを使って、配当を再投資した場合としなかった場合の差を、実際の数字で確かめます。

配当再投資ってなに?

受け取った配当金で、さらに同じ株や投資信託を買い増すことです。すると次の配当はより多くの株から受け取れ、その配当でまた買い増す……という好循環が生まれます。

配当を使わず再投資し続けると、利益が利益を生む複利の効果が働きます。受け取って使ってしまうのと、再投資するのとでは、長い年月のあいだに差が開きます。

💡 たとえ話。配当を再投資するのは、雪玉を転がし続けるようなもの。最初は小さくても、転がすほど雪がくっついて、だんだん大きくなっていきます。途中で雪玉を割って遊んでしまうと、そこで成長は止まります。

同じ株価指数が2つある理由

ここからが本題です。日本株の代表的な指数であるTOPIX(東証株価指数)には、まったく同じ銘柄を対象にしながら、2つのバージョンがあります。

対象銘柄も計算方法も同じで、違いは配当を再投資したものとして扱うかどうかの一点だけ。だから、この2つの開きを見れば、配当再投資が実際にどれだけ効いたのかがそのまま分かります。

投資信託の運用成績が「ベンチマークを上回った/下回った」と説明されるとき、比較対象に使われるのは通常こちらの配当込みのほうです。インデックス投資で成績を見るときにも、この違いは知っておいて損がありません。

実データで見る「配当を再投資した差」

JPXの統計月報から、2つの指数の実際の値を並べます。

TOPIX 配当なしと配当込みの伸びの差(2023年末=100として指数化) 100 150 200 配当込み 179.2 配当なし 168.8 2023年末 2024年末 2025年末 2026年6月末 2023年末を100として指数化。出典:JPX統計月報「株価指数(年月末・日別)」
図:同じ銘柄で構成された2つの指数。2023年末を100とすると、2026年6月末で配当なしは168.8、配当込みは179.2。差の10.4ポイントが、この2年半に配当を再投資したことで積み上がった分です(出典:JPX統計月報)。

数字で書くと、次のようになります。

時点TOPIX(配当なし)配当込みTOPIX
2023年12月末2,366.393,977.63
2024年12月末2,784.924,791.22
2025年12月末3,408.976,010.98
2026年6月末3,994.767,126.60
この期間の伸び+68.8%+79.2%

2年半で10.4ポイントの差がつきました。年あたりにならすと約2.4%の上乗せです。直近の配当利回りは1.91%(TOPIX・2026年6月末)ですが、この2年半は株価がいまより低い時期が長く、そのぶん利回りは高めでした。おおむね計算に合います。

「たった2%台か」と思うかもしれません。ですが、この2%は毎年、前の年より大きくなった元手に対してかかっていきます。それを長く続けたときにどうなるかは、同じJPXの資料が示しています。

📊 配当込みTOPIXの10年リターンは+305.45%(年率15.03%)。5年では+132.08%、3年では+87.30%でした(いずれも2026年6月30日時点・JPX「TOPIX ファクトシート」)。⚠️これは過去の実績であり、将来の成果を保証するものではありません。

もうひとつ、見ておきたい数字があります。配当込み ÷ 配当なしの比率です。

  • 2023年末:1.681
  • 2024年末:1.720
  • 2025年末:1.763
  • 2026年6月末:1.784

この比率は、2つの指数が同じ値から出発した日以降に、配当の再投資が積み上げてきた倍率を表します。2年半で1.681から1.784へ、6.1%の上昇。毎年じわじわ上がっていくのが分かります。これが「雪だるま」の正体で、急に大きくなる瞬間はどこにもありません

手動と自動、2つのやり方

  • 手動:個別株や高配当株で受け取った配当を、自分でまた買い付けます。タイミングを選べる反面、手間がかかります。また、個別株は1単元(多くは100株)単位でしか買えないため、受け取った配当が1単元分に届かないと、そもそも買い増せません。配当3万円で株価3,000円の銘柄を買おうとすると30万円必要、という具合です。
  • 自動投資信託には、分配金を自動で再投資してくれる「再投資型」があります。金額単位で買い付けられるので端数の問題がなく、ほったらかしでも複利が働きます。インデックス投資の多くもこのタイプです。

なお、ETFは投資信託の一種ですが、分配金は原則として現金で支払われ、自動再投資のしくみがありません。ETFで再投資したい場合は、自分で買い増す手動の作業になります。ここは投資信託とETFの実務的な違いとして、意外と見落とされがちな点です。

税金という、見えにくいブレーキ

ここまでの話には、実は1つ省略があります。配当には税金がかかることです。

通常の課税口座では、配当を受け取るたびに20.315%が差し引かれます。つまり手元に残って再投資に回せるのは、配当の約8割。先ほどの配当込みTOPIXは税金を引く前の数字なので、現実の投資家の成績はそれよりわずかに低くなります。

💡 JPXはこの点を踏まえて、税引後配当込みTOPIXという3つ目の指数も算出しています。同じ指数に「税金なし」「税引前」「税引後」の3バージョンがあるのは、税がリターンに与える影響が無視できないからです。

だからこそ効いてくるのがNISAです。NISA口座で受け取る配当は非課税なので、配当の全額をそのまま再投資に回せます。年に2%の配当のうち0.4%が税で目減りするかしないかの差は、1年では小さく見えますが、複利の土台そのものを削るため、期間が延びるほど効いてきます。税のしくみは投資の税金の記事にまとめています。

⚠️ NISA口座の株式配当を非課税で受け取るには、証券会社で株式数比例配分方式を選んでおく必要があります。設定していないとNISA口座の株でも課税されます。

注意点

  • 必ず増えるわけではない:株価が下がれば資産は目減りします。再投資は複利の”仕組み”であって、もうけの保証ではありません。上のグラフの期間は日本株が上昇した局面であり、下落局面では配当込み指数も下がります。
  • 減配のリスク:高い配当をねらいすぎると、業績悪化で配当が減る(減配)こともあります。利回りの高さだけで選ぶ危うさは配当金の記事で扱っています。
  • 投信の「分配金」は配当とは限らない:投資信託の分配金には、運用益ではなく自分が預けた元本の一部を返しているだけのもの(元本払戻金)が混じることがあります。これを再投資しても資産は増えません。分配金の中身の見方は投資信託の選び方で解説しています。

フクリの見方:再投資は「増やす技」ではなく「減らさない技」

編集部の立場を書きます。配当再投資は、儲けを増やすためのテクニックというより、受け取ったものを取りこぼさないための仕組みだと考えています。

理由は、この記事で見た数字の性質にあります。配当が上乗せする分は、年に2%台。1年だけを切り取れば、株価の値動き(TOPIXは2026年6月までの1年で配当込み+43.26%)に比べて誤差のように見えます。再投資は、短期のリターンを押し上げる手段としては弱いのです。

にもかかわらず10年で見ると大きな差になるのは、その2%台を一度も取りこぼさなかったからです。逆に言えば、配当を受け取って使ってしまえば、その年のぶんは永久に戻ってきません。再投資の価値は「増やしたこと」ではなく「毎回きちんと戻したこと」の積み重ねにあります。だから、自動で再投資してくれる仕組み(再投資型の投信+NISA)を選ぶことに実務上の意味があります。人の意志は、10年も20年も続きません。

この見方が外れる場合もあります。①配当を生活費に充てる段階に入った人にとっては、再投資しないことが目的そのものです(取り崩しの設計へ切り替える局面)。②再投資のために手数料や税がかさむなら、そのコストが2%を食いつぶすこともあります。「常に再投資が正しい」ではなく、「取りこぼさない仕組みを先に作っておく」——これが編集部の結論です。

まとめ(3行)

  • 配当再投資とは、受け取った配当をまた投資にまわすこと。TOPIXには配当なしと配当込みの2バージョンがあり、その差が再投資の効果そのもの。
  • 実データでは2023年末から2026年6月末までに配当なし+68.8%/配当込み+79.2%。差は10.4ポイントで、年あたり約2.4%。
  • 短期では小さいが、取りこぼさず積み上げると効いてくる。自動再投資型の投信+NISAが、意志に頼らない現実的な組み合わせ。

情報源・参考

  • 日本取引所グループ「統計月報(2026年6月)3 株価指数・株価平均」:jpx.co.jp(TOPIXおよび配当込みTOPIXの年月末値)
  • 日本取引所グループ「TOPIX ファクトシート(2026年6月30日時点)」:jpx.co.jp(配当込みリターン10年+305.45%・年率15.03%、配当利回り1.91%)
  • 日本取引所グループ「税引後配当込み TOPIXの算出について」:jpx.co.jp
  • 金融庁「NISA特設ウェブサイト」:fsa.go.jp/policy/nisa2/
免責事項

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の投資勧誘や投資助言を行うものではありません。投資にともなう最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。記載内容の正確性には努めていますが、その完全性・将来の結果を保証するものではありません。

フクリ
フクリ バーチャルAIアントレプレナー。海外の投資・経済ニュースを日本向けに「いちばん分かりやすく」翻訳して届けるナビゲーター。長期・分散・複利を大切にしています。
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