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中国の国家計画「東数西算」は看板倒れなのか──投資1兆元超の裏で報じられる「眠る算力」の実像

2026.07.12 ・ 執筆:フクリ
中国の国家計画「東数西算」は看板倒れなのか──投資1兆元超の裏で報じられる「眠る算力」の実像

📌 この記事は公開情報(中国政府・政府系メディアの発表、中国国内メディアの報道、海外の調査分析など)をもとにした情報提供・解説です。数値・固有名詞は執筆時点(2026年7月12日)で確認できた情報にもとづくもので、状況は今後変わり得ます。

中国には、国土をまるごと使う巨大インフラ計画の系譜があります。南の水を北へ送る「南水北調」、西のガスを東へ運ぶ「西気東輸」、西の電気を東へ流す「西電東送」。そして2022年、この系譜に計算力(算力)を対象にした国家計画が加わりました。名前は「東数西算」──東部で生まれるデータを、西部の計算力で処理するという意味です(「数」はデータ、「算」は計算力を指します)。

土地と電力のコストが低いとされる西部にデータセンターを集め、需要地である東部と高速回線で結ぶ。発表から4年あまり、政府側の発表や業界メディアの集計では累計投資は1兆元(約20兆円規模)を超えたとされ、数字の上では壮大な成功に見えます。

ところが2026年7月10日、米国の中国テック分析メディアChinaTalkが、この政策を真っ向から疑う分析を公開しました。タイトルは直訳すると「東数西算はフェイクだ」。しかも興味深いことに、ほぼ同じ時期に中国国内のメディアからも「眠る算力」「利用率3割」という現場報告が相次いでいるのです。この記事では、①政策の中身と政府側の成果主張、②なぜ「看板倒れ」と指摘されるのか、③投資家としてどう読むか、を順に整理します。米国で起きた「データセンター半分キャンセル」騒動との対比も、後半の見どころです。

まず「東数西算」って何?──国家が描いた設計図

「東数西算」(East Data West Computing)は、2022年2月に全面始動した国家計画です。先行して承認されていた西部側のハブに加え、この月に国家発展改革委員会(NDRC)など4部門が東部側のハブを承認し、8ハブ体制が出そろいました(出典:中国政府網の政策解説、2022年2月28日)。発想は、データセンターの主要コストとされてきた電気代・土地代の低い西部に施設を寄せ、東部の計算需要をネットワーク経由で処理しようというものです。ただし、すべての処理を西へ移す構想ではありません。応答の速さが求められる処理は東部近郊で、データの保存・バックアップやオフライン分析のような急がない処理は西部で、という役割分担が本来の設計図でした。

「東数西算」の設計図=西部の強みで東部の需要を受ける
安い電力西部は水力・風力・太陽光など再生可能エネルギーが豊富
広い土地人口希薄で用地コストが低く、大規模施設を建てやすい
冷涼な気候冷却コストを抑えやすい(データセンターは熱との戦い)
回線で東西接続東部の需要を光ファイバー網で西部に運ぶ構想
図:政策が想定した「西部立地の利点」の整理(中国政府網の政策解説などをもとに筆者作成)。この前提が後にAI時代とずれていきます。

具体的には、全国に8つの算力ハブと10のデータセンター集積クラスタを指定しました(ハブは中国語で「枢紐節点」)。ハブは「需要地型」と「資源型」の2種類に分かれます。

ハブ(地域)性格対応するクラスタ(所在地)
京津冀(北京・天津・河北)需要地型張家口(河北省)
長江デルタ(長三角)需要地型長三角生態緑色一体化示範区、蕪湖(安徽省)
粤港澳大湾区(広東・香港・マカオ)需要地型韶関(広東省北部)
成渝(四川・重慶)需要地型天府(四川省)、重慶
内モンゴル資源型(西部)和林格爾(フフホト近郊)
貴州資源型(西部)貴安
甘粛資源型(西部)慶陽
寧夏資源型(西部)中衛

表:8ハブ10クラスタの構成(NDRC発表・中国政府網の政策解説をもとに作成、2022年2月時点の指定)。「需要地型/資源型」の区分は、政策解説の内容にもとづく筆者の整理です。

ポイントは、資源型の4ハブ(内モンゴル・貴州・甘粛・寧夏)がいずれも西部の内陸地域だということ。ここに東部の計算需要を移す、というのが看板に書かれた約束でした。なお貴州省は10年以上前からビッグデータ集積地として先行しており、米アップルが中国向けiCloudの運営を委託する現地企業(雲上貴州)の本拠地としても知られます。

政府側の成果主張──数字の上では「大成功」に見える

政府側の発表を追うと、成果は着実に積み上がっているように見えます。国家データ局の劉烈宏局長は2024年9月、8ハブへの直接投資が435億元を超え、2000億元超の関連投資を牽引したと説明しました(出典:新浪科技が伝えた国家データ局の発表、2024年9月3日)。ハブのデータセンターのラック(サーバー棚)総規模は標準ラック換算で195万架を超え、東西を結ぶ通信の遅延も「20ミリ秒(0.02秒)以内」という要件を基本的に満たしたとされます。

業界メディアの集計はさらに大きく、通信産業網は2026年2月、始動から4年で社会投資の累計が1兆元を超えたと報じました(新浪財経転載、2026年2月25日)。AI向け算力(智算)の約8割が8ハブに集中したという同記事の集計もあり、「国家が描いた地図どおりに投資が動いた」ようにも見えます。

技術面の実績もあります。内モンゴルのフフホト近郊のクラスタではグリーン電力比率86%とされ、新設データセンターの電力効率を示すPUE(施設全体の消費電力をIT機器の消費電力で割った指標。1に近いほど無駄が少ない)が1.04という世界最高水準の例も、政府側の発表には登場します。再エネ活用や省エネ設計で成果が積み上がっているのは確かでしょう。

ここまでが、いわば1段目の物語です。問題は、国家計画の成功を測る物差しです。投じた金額で測るのか、それとも実際に使われた計算力で測るのか。ここから先は後者の物差しで、数字の内側をのぞいていきます。

ところが「チップは東部に残ったまま」──ChinaTalkの指摘

ChinaTalk(執筆はIrene Zhang氏ら、2026年7月10日公開)は、中国信息通信研究院(CAICT、中国の政府系シンクタンク)の2025年データを手がかりに、AIチップが実際にどの省に置かれているかを調べました。結果は意外なものでした。

チップ搭載規模の上位省は、河北・広東・江蘇がトップ3。貴州(4位)や内モンゴル(5位)といった西部の資源型ハブも上位に入るものの、広東・江蘇はまさに「データを送り出すはずの東部の需要地」そのものです(集計の単位や定義の取り方で順位は変わり得る点には注意してください)。

さらに皮肉なのは1位・河北のからくりです。河北が首位なのは、省内の張家口クラスタ──つまり北京のすぐ隣──に施設が集中しているから。長江デルタでも同様に、大都市近郊への集中が進んでいると同メディアは指摘します。ChinaTalkはこの実態を、「東数西算」ならぬ東のデータを、都市から車で45分の郊外で計算する政策だった、と辛辣に言い換えました。西部の奥地への大移動は起きず、東部メガシティの縁にAIインフラが張り付いた、というのが同メディアの見立てです。

📝 念のため:これはChinaTalkという一分析メディアの解釈であり、中国政府の公式見解ではありません。地理的な分布の検証は同メディア独自のものですが、次章のとおり「施設が十分使われていない」という稼働面の課題は、中国国内メディアも報じています。

中国国内からも「眠る算力」報道──利用率3割の現場

ここまでは「地図の検証」でした。次は「稼働の検証」です。そして、この疑問は外国メディアだけのものではありません。中国の政府系メディア科技日報は2025年7月17日、「利用率はわずか3割、眠る算力をどう起こすか」と題した長編の現地ルポを掲載しました。そこで紹介された西部某都市の智算センター(AI計算用データセンター)の実態は、次のようなものです。

  • 市街地から20km以上離れた山あいに立地(2022年着工)
  • ラックにサーバーが搭載されている比率(上架率)は5割未満
  • 搭載済みサーバーですら、実際の利用率は3割未満
  • それでも年間の運営コストは3000万元を超える(1元=約20円換算で約6億円)

上架率と利用率は掛け算で効いてきます。仮に上架率50%の施設で、搭載済み機器の利用率が30%なら、施設全体として実際に働いているのはざっくり15%程度、という計算です。同記事は都市名や施設名を伏せているため、この施設が東数西算の指定クラスタ内かどうかまでは分かりません。ただ、同記事によれば、これは特殊な失敗例ではなく、全国の智算センターの平均算力使用率は約3割にとどまるという業界推計があるとされます。一方で建設の勢いは止まっておらず、2024年11月時点で稼働中の智算センターは約150、建設・計画中はその倍以上の約400に達していました。

中国の智算センター:稼働中と建設・計画中の比較(2024年11月時点) 約150 約400 稼働中 建設・計画中 単位:か所(概数)
出典:科技日報(2025年7月17日)の報道にもとづく2024年11月時点の概数。平均利用率が約3割と推計されるなかで、さらに2倍以上の施設が積み上がる計画だったことを示す。建設・計画中の案件がすべて完成する保証はなく、今後見直される可能性もあります。

つまり、すでにある施設が眠っているのに、その倍以上が建設待ちの列に並んでいる──これが中国国内メディアの伝えた現場でした。政府発表ですら、ハブ全体の上架率は約63%(2024年9月時点・国家データ局)と、空きの多さをうかがわせる水準です。

ここで、指標を整理しておきましょう。「投資した」と「使われている」のあいだには、いくつもの関門があります。

「投資」と「利用」のあいだにある関門
建てる累計投資1兆元超(業界メディア集計)。ここまでは進んだ
機器を載せる上架率=ラックにサーバーが入った割合。ハブ全体で約63%、西部の事例では5割未満
実際に使う利用率=載せた機器が仕事をしている割合。平均約3割との推計
回収する年3000万元超の運営費をまかなえるか。ここが最難関
図:投資額と実利用のあいだにある関門の整理(国家データ局発表・科技日報報道の数値をもとに筆者作成)。上架率と利用率は別の指標で、母集団・時点も異なるため、あくまで全体像をつかむための見取り図です。

なぜ「空回り」と指摘されるのか──3つの構造要因

では、国家計画がなぜこう報じられる状況になったのでしょうか。報道と分析を突き合わせると、大きく3つの構造要因が浮かびます。

要因1:AI時代に「電気代の安さ」の引力が弱まった

そもそもなぜ西部だったのか。中国の業界では長らく「電気代はデータセンターの運営コストの6〜7割」という説明が使われてきました。ChinaTalkによれば、NDRCも東数西算を正当化する際にこの水準を挙げています。電気が最大のコストなら、電気の安い西部に置くのが合理的です。

ところがAI時代のデータセンターは事情が違います。ChinaTalkの試算では、400MW級(40万kW。大型発電所1基の半分近い規模)のAIデータセンターの3年間の総コストのうち、電気代は約5%にとどまるとされます。コストの大半はAIチップの購入費と建設費が占めるからです。厳密には、6〜7割という従来の数字は「日々の運営費」に対する割合、5%という試算は「チップ代・建設費まで含めた3年間の総費用」に対する割合で、分母が異なる点には注意が要ります。それでも、AI時代の立地選びで「電気の安さ」の重みが想定よりずっと小さいなら、顧客に近く人材が集まる東部近郊に置くほうが合理的になり得ます。

政策の前提電気代は運営コストの6〜7割 → 電気の安い西部が有利(従来型データセンターの発想)
AI時代の試算電気代は3年総コストの約5% → チップ代・建設費が支配的で、西部の優位が薄れる(ChinaTalk試算)
図:立地判断の前提のずれ。数値はChinaTalk(2026年7月10日)が紹介した政策側の説明と同メディアの試算で、施設の規模や前提によって割合は変わり得ます。

加えて、対話型AIのようにリアルタイムの応答が要る使い方では、利用者から遠い立地はそれ自体が弱点になります。公平に言えば、前述のとおり政策は当初から「急がない処理を西へ」という役割分担を描いていました。想定を超えたのは、AIブームによって算力需要の主役が「急がない保存・処理」から「高価なチップで行う大規模計算」へ一変したことです。設計図が描かれた2022年2月は、ChatGPT登場より前だったことを思い出してください。

要因2:西部に「人」がいない

データセンターは建てて終わりではなく、運用・保守・ネットワークの専門人材が要ります。ChinaTalkが引用する2021年の業界報告(中国データセンター人材発展報告)では、この分野の人材の87.5%が華北・華東・華南──北京・上海・広東周辺の主要経済圏を含む地域に集中しています。科技日報のルポでも、西部の施設が抱える課題として運用人材の不足が挙げられました。施設は西へ、人は主要経済圏のまま。この非対称が、稼働の足を引っ張る一因になっていると報じられています。

要因3:「高品質は足りず、低品質は余る」需給ミスマッチ

そして、報道と分析が最も強調するのが、この3つ目です。中国の算力は単純な「過剰」ではありません。観察者網系のテックコラム(心智観察所、2026年7月2日)は「中国の算力過剰は偽命題(見せかけの命題)だが、それより危険なことが起きている」と論じました。同コラムの見立てを整理すると、こういう構図です(「高品質/低品質」は論者による性格づけで、公的な区分ではありません)。

高品質な有効算力地方の智算センター
担い手アリババクラウド、テンセントクラウド、字節跳動、ファーウェイクラウドなど大手のコア集群地方政府や外部投資家が主導した中小施設
需給逼迫が続くとの指摘(AI開発需要に供給が追いつかない)低稼働(平均利用率3割との推計)
課題先端チップの調達制約顧客基盤が薄い、雑多なチップ構成で使いにくい、ソフトウェア生態系が未成熟

表:観察者網系コラム(2026年7月2日)・科技日報(2025年7月17日)・財聯社の現場取材(2025年9月26日)の指摘を整理。「高品質/低品質」は公的統計の区分ではなく論者による性格づけですが、「余っているのに足りない」という一見矛盾した状態の併存が、共通して指摘されています。

実際、科技日報が伝えた推計では、2023年の中国の智能算力は需要123.6EFLOPSに対し供給57.9EFLOPS(EFLOPSは計算速度の単位。計算精度のとり方で数値が変わるため目安です)と、供給不足ですらありました。問題は総量ではなく中身で、使えるものは足りず、使えないものが余っている──これが各報道に共通する構図です。同コラムは、地方が施設を不動産のように扱い「資産が先、需要は後」で建設が進む状態を算力の不動産化と呼び、こちらこそ危険だと警告しました。「本当に希少なのはGPUではなく、GPUを生産力に変える能力」という同コラムの結語は、この問題の本質を突いています。

こうした「テーマの熱と、実際に稼ぐ力のずれ」は、中国AI業界の資金構造を整理した記事や、中国メモリー半導体CXMTを扱った記事でも繰り返し出てきた論点です。

米国の「データセンターキャンセル」論争との対比──鏡写しの悩み

ここで面白いのは、太平洋の反対側でも今年、データセンターをめぐる大論争があったことです。米国では「2026年稼働予定の半分が延期・キャンセルされた」という説が広がり、調査会社SemiAnalysisが衛星画像と許認可資料で反証しました(詳しくはこちらの記事で解説しています)。米国の実像は、需要は本物だが、電力や変圧器など供給側が追いつかないというものでした。AIの制約がチップから電力へ移った構造は、当ブログでも整理したとおりです。

単純化を承知でいえば、米中はちょうど鏡写しの悩みを抱えています。

米国型の悩み需要が先行し、電力・送電網・変圧器など供給が追いつかない(需要先行・供給制約)
中国型の悩み政策で施設の供給が先行し、需要・人材・ソフト生態系が追いつかない(供給先行・需要ミスマッチ)
図:米中のAIインフラが抱える課題の対比(各種報道・分析をもとに筆者整理)。どちらか一方が正しいという話ではなく、制約の場所が異なります。

両者に共通する教訓もあります。それは、AIインフラの数字は「見出しの伝言ゲーム」や「政策の掛け声」で簡単に歪むということ。米国では悲観方向に(半分キャンセル説)、中国では楽観方向に(投資1兆元の成果)、それぞれ実態から乖離した物語が先行しました。衛星画像で数えるSemiAnalysisや、現場を歩いた科技日報の記者のような実地の検証が、その歪みを正す最も強力な手段になります。投資家にとっても、このリテラシーはそのまま使えます。

投資家として、どう読む?

最後に、この話を投資の視点でどう受け止めるかです。まず、強気・慎重の両方の観点を並べます。

強気側の観点

  • 高品質算力の逼迫が続くとの指摘があり、アリババやテンセントなど大手クラウドのAI設備投資が続くとの見方がある
  • 中国政府はAIインフラを国家戦略と位置づけ続けており、東西を結ぶ光通信網・電力網への投資に政策の後押しが続くかが注目点になる
  • 淘汰が進めば、生き残る大手事業者に需要が集約される可能性がある

慎重側の観点

  • 地方の智算センターの不良資産化(幽霊データセンター化)への懸念が現実の報道として出ている
  • 補助金頼みの建設が続いた分野は、政策の風向き一つで急減速し得る
  • 中国は情報開示や統計の外部検証が米国市場より難しく、数字の内側を確かめる手段が限られる
  • 米中の輸出規制など地政学要因で、前提が短期間に変わり得る

そのうえで、このテーマに関係し得る主な企業を整理しておきます。

中国国内の分析が「高品質算力」の担い手に挙げた大手

企業上場市場(コード)日本からの投資手段の目安
アリババ香港(9988)/米国ADR(BABA)外国株口座(香港株・米国株)で取り扱い例あり
テンセント香港(0700)香港株を扱う証券会社で取り扱い例あり
ファーウェイ未上場個人が株式を直接買う手段はない
字節跳動(バイトダンス)未上場個人が株式を直接買う手段はない

データセンターの建設・運営に関わる主な事業者

企業上場市場(コード)日本からの投資手段の目安
GDSホールディングス米国(GDS)/香港(9698)外国株口座(米国株・香港株)で取り扱い例あり
VNETグループ米国(VNET)米国株を扱う証券会社で取り扱い例あり
中国移動(チャイナモバイル)香港(0941)/上海(600941・A株)香港上場分は取り扱い例あり
潤澤科技深セン(300442・A株)日本からA株を買える証券会社はごく限られる
光環新網深セン(300383・A株)同上
数据港上海(603881・A株)同上

⚠️ 上の一覧は「どんな会社がこのテーマに関係し得るか」という事実の整理であり、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。市場コードは執筆時点(2026年7月12日)の情報です。株価・制度は変動するため、最新情報は各証券会社やYahoo!ファイナンスなどでご確認ください。中国本土のA株は、日本の個人投資家が直接買うには取扱証券会社が非常に限られ、制度面の制約も大きい市場です。香港上場株や米国ADRは比較的アクセスしやすい一方、中国株特有の規制リスク・上場廃止リスクがあります。ファーウェイや字節跳動のような未上場企業は、個人が株式を直接買う手段がありません未上場株と個人投資家の関係はこちらの記事で解説しています)。「関連しそうだから」という連想だけで周辺銘柄に手を伸ばす前に、施設の稼働率・主要顧客との契約・当該事業の売上比率・減価償却の負担といった中身を確かめる一手間が、何よりの防波堤になります(取り扱いの有無・条件は各証券会社で異なるため、実際の取扱状況は各社の公式情報でご確認ください)。

フクリの見方

  • 国家戦略の「言葉」と「数字」を分けて読むこと。「投資1兆元」という金額の大きさと、それが収益を生むかは別問題です。ラックの埋まり具合(上架率)や実際の使われ方(利用率の推計)といった実態側の数字のほうが、実像を雄弁に語ります。
  • テーマの熱と、個別企業の稼ぐ力は別物です。「東数西算関連」とされる企業でも、低稼働の施設を抱えていれば熱いテーマはむしろ重荷になります。AIと投資の基本的な考え方で書いたとおり、ブームの言葉ではなく事業の中身を見る習慣が身を守ります。
  • 一つの国・一つのテーマに賭けすぎないこと。米中どちらのAIインフラにも本物の需要と本物の歪みが同居しています。分散を保ちながら、実地検証に基づく情報源を選んで長く追いかけるのが、遠回りに見えて堅実です。

まとめ(3行)

  • 【事実】中国の国家計画「東数西算」は2022年2月に8ハブ10クラスタ体制で始動し、業界メディア集計では累計投資1兆元超。一方、政府系シンクタンクのデータにもとづく分析では、AIチップは河北・広東・江蘇など東部側に集中している(ChinaTalk、2026年7月)
  • 【報道・推計】中国国内メディアは、西部智算センターの上架率5割未満・利用率3割未満・年間運営費3000万元超の事例と、平均利用率約3割との業界推計を報道。高品質算力は逼迫し低品質が余るという構造ミスマッチの指摘が核心
  • 【視点】米国は「需要先行・電力制約」、中国は「供給先行・需要ミスマッチ」という対照的な構図。見出しの言葉ではなく、実地検証された数字で確かめる姿勢が投資家の防御になる

情報源

※米国側の経緯(キャンセル説とSemiAnalysisの反証)の一次出典は、本文中で触れた当ブログ過去記事(データセンター半分キャンセル説の検証、AIの制約は電力へ)の各情報源欄にまとめています。

免責事項

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の投資勧誘や投資助言を行うものではありません。投資にともなう最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。記載内容の正確性には努めていますが、その完全性・将来の結果を保証するものではありません。

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