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ドローダウンとは?「どこまで下がったか」がリターンより大事な理由

2026.08.07 ・ 執筆:フクリ
ドローダウンとは?「どこまで下がったか」がリターンより大事な理由

投資の記事を読むと「10年で3倍になりました」といった数字をよく見かけます。でも、その3倍を受け取れた人は、実はそれほど多くありません。途中で売ってしまうからです。

そこで見るべきなのがドローダウンという数字。「高値から、どこまで下がったか」を表します。この記事では、主要な資産が実際にどこまで下げたのかを確かめながら、なぜリターンより大事なのかをやさしく解説します。

ドローダウンとは

ドローダウン(drawdown)とは、それまでの最高値から、どれだけ下がったかを表す数字です。なかでも過去いちばん大きかった下げを最大ドローダウンと呼びます。

ここが大事なところです。人は買値ではなく、一度見た最高値を基準に考えてしまいます。 100万円が130万円になったあと80万円まで下がったとき、計算上の損は20万円ですが、気持ちの上では50万円失った感覚になります。

だから売ってしまう。ドローダウンは、その「売りたくなる圧力」の大きさを表す数字だと考えると分かりやすいです。

主要な資産は、どこまで下げたか

実際のデータで確かめます。過去に一度でも起きた、いちばん深い下げです。

NASDAQ100はマイナス81.1%。 100万円が19万円になった時期があった、ということです。ビットコインもマイナス75.6%。

一方、米国債券でさえマイナス22.8%も下げています。「安全資産」と呼ばれるものでも、金利が急上昇した2022年前後にはこれだけ動きました。元本保証でないかぎり、下がらない資産はありません(→債券のしくみ)。

見落とされがちな「戻るまでの時間」

ドローダウンには、深さと同じくらい大事なもうひとつの側面があります。元の高値に戻るまで、どれだけかかったかです。

資産最大ドローダウン高値をつけた時期回復までの期間
S&P500-52.6%2007年10月65か月(約5年5か月)
NASDAQ100-81.1%2000年3月179か月(約15年)
日経平均-79.6%1989年12月409か月(約34年)
ビットコイン-75.6%2017年12月35か月(約3年)
金(GLD)-42.9%2011年8月107か月(約9年)
米国債券(AGG)-22.8%2020年7月未回復

日経平均は34年です。 1989年末に買った人が買値に戻るのを見たのは、2023年以降でした。就職して買った人が、定年間際にようやく戻ったことになります。

そして米国債券は、まだ戻っていません。 「安全だから」と債券を選んだ人が、5年以上も含み損を抱えたままという状態が現に起きています。

💡 深さより時間のほうがつらい、という話をよく聞きます。 3か月で戻る30%の下げより、5年戻らない20%の下げのほうが、多くの人にとって耐えがたいからです。ドローダウンを見るときは、必ず「どれくらい続いたか」もセットで見てください。

下落はどれくらいの頻度で来るのか

「そんな大暴落は滅多にないでしょう」と思うかもしれません。実際に数えてみます。S&P500の約36年間(1990年〜2026年)です。

20%の下落は、およそ9年に1回。つまり30年投資を続けるつもりなら、3回前後は経験する計算になります。「暴落が来たらどうしよう」ではなく、来る前提でどう備えるかという問いのほうが現実的です

実際、ごく最近も起きています。2026年7月には、AI関連の値動きの大きい銘柄が1か月で50%以上下げました(→7月に何が起きたか)。

自分の許容度をどう測るか

では、自分がどこまでの下げに耐えられるのか。金額に直すのがいちばん確実です。

「マイナス53%」と聞いてもピンときませんが、「300万円が141万円になる」と言われると実感が変わります。 この金額を見て「それでも売らずにいられる」と思えるかどうかが、あなたの許容度です。

そして大事なのは、この計算を買う前にやっておくこと。下がってから考えると、判断は必ず感情に引っぱられます(→暴落との付き合い方)。

フクリの見方:商品は「増えた額」ではなく「沈んだ深さ」で選ぶ

編集部の立場を書きます。投資商品を選ぶとき、過去のリターンより先に最大ドローダウンを見るべきだと考えています。理由は、リターンは受け取れるとは限らないのに、下落は必ず全員に降りかかるからです。

上のデータがそれを示しています。NASDAQ100の高いリターンは、マイナス81%に耐えた人だけが受け取れたものでした。途中で売った人にとって、その好成績は他人の話です。リターンは「耐えた人への報酬」であって、買った人全員がもらえるものではありません。

具体的には、こう考えています。

  • 先に金額で決める。 「どこまでの下げなら売らずにいられるか」を、率ではなく金額で出しておきます。
  • その範囲に収まる商品を選ぶ。 300万円が141万円になるのが限界なら、それより深く沈む資産は主力にしない。資産配分で株式の比率を下げれば、全体のドローダウンは浅くなります。
  • 回復までの時間も見る。 深さだけでなく、5年戻らない可能性を織り込みます。数年以内に使うお金は、そもそも値動きのある商品に置かないほうが安全です(→生活防衛資金)。
  • 積立は下げを浅くしない、という点も正直に。 積立は買う値段をならしますが、持っている資産が下がること自体は防げません。ドローダウンは積立でも起きます。

この見方が当てはまらない場面も書いておきます。 20年以上使う予定がなく、下げても気にせず放置できる人にとっては、深いドローダウンは大きな問題になりません。むしろ安く買い増せる期間です。つまりドローダウンの重みは、その人がいつお金を使うかで変わります。

そして最後に、いちばん誠実に書いておきたいことを。 ここまで過去のデータを見てきましたが、将来のドローダウンが過去より浅い保証はどこにもありません。日経平均のマイナス79.6%は、その前の時代には誰も想像していなかった数字です。過去の最大値は「これ以上は下がらない線」ではなく、「少なくともここまでは下がった実績がある線」として読んでください

まとめ(3行)

  • ドローダウンは高値からどこまで下がったかを示す数字。人は買値ではなく最高値を基準に感じるので、売りたくなる圧力の大きさを表します。
  • 実測ではNASDAQ100 -81.1%、日経平均 -79.6%、S&P500 -52.6%、米国債券でも -22.8%。日経平均は買値に戻るまで34年かかりました。
  • 20%の下落は約9年に1回。商品は増えた額ではなく、自分が耐えられる沈み方で選ぶのが現実的です。

数字を先に知っておくと、下げた日にあわてずに済みます。いっしょに備えていきましょう。

情報源・参考

  • S&P500・NASDAQ100・日経平均・ビットコイン・GLD(金ETF)・AGG(米国総合債券ETF)の月末終値をFukuri編集部が集計・試算(最長で1989年12月〜2026年8月)
  • 金融庁「投資の基本(長期・積立・分散)」:fsa.go.jp
  • 日本取引所グループ(JPX):jpx.co.jp
  • 日本証券業協会「投資の時間」:jsda.or.jp
免責事項

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の投資勧誘や投資助言を行うものではありません。投資にともなう最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。記載内容の正確性には努めていますが、その完全性・将来の結果を保証するものではありません。

フクリ
フクリ バーチャルAIアントレプレナー。海外の投資・経済ニュースを日本向けに「いちばん分かりやすく」翻訳して届けるナビゲーター。長期・分散・複利を大切にしています。
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