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2026年後半の米国市場を動かす“3つの力”──Apolloスロック氏の中間見通しと、Mag 7“出遅れ”の構造

2026.07.06 ・ 執筆:フクリ
2026年後半の米国市場を動かす“3つの力”──Apolloスロック氏の中間見通しと、Mag 7“出遅れ”の構造

📌 この記事は公開情報(Apollo Global Managementの公表資料・FRBの声明・各種報道など)をもとにした情報提供・解説です。数値・固有名詞は執筆時点(2026年7月6日)で確認できた情報にもとづくもので、状況は今後変わり得ます。

2026年も半分が終わりました。前半の米国市場をひとことで振り返ると、こうなります──AI相場は続いたのに、AIの代名詞だったはずの「Mag 7」が置いていかれた

Mag 7(マグニフィセント・セブン)とは、マイクロソフト、エヌビディア、アップル、アルファベット、アマゾン、メタ、テスラの巨大テック7社の総称です。この7社は2026年6月のひと月だけで合計約2.3兆ドルの時価総額を失い、CNBCが算出するMag 7指数の年初来騰落率は6月末時点でマイナス圏に沈みました。一方で半導体株指数は同じ6月末時点で年初来9割前後の上昇、S&P 500からこの7社を除いた「S&P 493」も6月上旬時点で年初来1割前後の上昇と堅調です(時点はそれぞれ異なります。詳細は後半の表で)。つまり、AIブームが終わったのではなく、AIの恩恵の受け皿が移動しているように市場では見え始めているのです。

この「ねじれ」を理解するのにちょうどよい見取り図が、2026年6月25日に公開されました。米大手資産運用会社Apollo(アポロ・グローバル・マネジメント)のチーフエコノミスト、トルステン・スロック氏の2026年中間見通しです。題して「市場を動かす3つの力(Three Forces Driving Markets)」。この記事では、①その3つの力の中身を一次情報で確認し、②「3つ目の力=政策」の実際の中身を点検し、③Mag 7の出遅れがこの見取り図とどうつながるのか、を順に整理します。2026年後半に「何を見ればいいか」の観点リストとして使ってください。

まず、何が起きたの?

Apolloは2026年6月25日、スロック氏による中間見通し「Torsten Slok’s Mid-Year Outlook: Three Forces Driving Markets」を公開しました。「3つの力」という枠組みはApollo自身の発信タイトルにもとづくもので(日本語のラベルづけは本記事による意訳です)、中身は次の3点です。

2026年後半の市場を動かす3つの力(Apolloの整理)
AIの経済全体化AIブームは「テクノロジー株の話」の枠をとうに超えた
産業ルネサンス製造業回帰が投資機会の地図を描き換えている
政策の支え政府の政策が成長を追加的に下支えしている
Apollo「2026 Mid-Year Outlook」(2026年6月25日)の骨子を本記事で図式化したもの。個別の投資判断を示すものではない。

スロック氏の整理では、AI投資・財政による刺激・進行中の産業ルネサンスが米国経済の推進力であり続ける一方、地政学ショック・関税の変転・目標を上回るインフレが見通しを複雑にする逆流(クロスカレント)になっている、とされます。つまり「3つの力」は強気一辺倒の宣言ではなく、追い風と逆風が同居する地図として提示されています。

なお、この見通しが出た直後のタイミングで、冒頭のMag 7の急落が重なりました。Apollo自身も6月末、「Mag 7 starting to underperform(Mag 7がアンダーパフォームし始めた)」と題したチャート集を公表しています。見通しと市場の現実が同じ方向を指した、興味深い半期の変わり目でした。

トルステン・スロック氏って何者?

トルステン・スロック氏は、Apolloのパートナー兼チーフエコノミストです。Apollo公表のプロフィールによると、2020年8月にApolloへ加わる前は、ドイツ銀行でチーフエコノミストを15年務め、担当チームは機関投資家誌インスティテューショナル・インベスターの年次調査で10年にわたり最上位にランクされました。それ以前はワシントンのIMF(国際通貨基金)とパリのOECD(経済協力開発機構)に勤務。コペンハーゲン大学とプリンストン大学で学んだ経済学博士です。毎朝配信されるメモ「The Daily Spark」は、チャート1枚と短文で市場の論点を切り取るスタイルで、機関投資家の間で広く読まれています。

ひとつ、読み方の作法を添えます。Apolloはプライベートエクイティ(未公開株)や私募クレジット(銀行を介さない企業向け融資)を主力とする資産運用大手で、ニューヨーク証券取引所の上場企業でもあります。「AIが実体経済に広がる」「産業ルネサンスで実物投資が増える」という見立ては、同社の事業機会とも重なります。これは見通しが間違っているという意味ではまったくなく、どの金融機関の見通しにも共通する「発信者の立ち位置ごと読む」という基本動作です。本記事でも、スロック氏の見立てはできるだけ検証可能なデータとセットで紹介します。

力①:AIは「テック株の話」から「経済全体の話」へ

1つ目の力は、AIブームが「一部のテック企業の株価の話」から「経済全体に組み込まれていく過程」へ性格を変えつつある、という見立てです。裏づけとして挙がっている数字を見てみましょう。

まず投資の規模。AI関連の設備投資(データセンター・半導体など)は2026年に7,000億ドル規模に達するとの推計が報じられています(CNBC、2026年6月30日。伸び率の見方は報道により幅があります)。大手テック4社(アマゾン、マイクロソフト、アルファベット、メタ)だけでも、チップ購入とデータセンター建設に数千億ドル規模を投じている計算です。

次に、お金の流れの構造。用語を先に補足すると、VC(ベンチャーキャピタル)は未上場の新興企業への投資、IG(投資適格社債)は信用力の高い企業が発行する債券、HY(ハイイールド債)は信用力が低いぶん利回りが高い債券のことです。Apolloのチャート集(2026年6月)によると、2026年の米国では、この3つの資金の入り口すべてでAI関連がすでに主役級の存在感を占めています。

資金調達チャネル2026年・年初来の資金調達に占めるAI関連の割合
ベンチャー投資(VC)約87%
投資適格社債の発行(IG)約49%
ハイイールド債の発行(HY)約38%
米VC投資に占めるAI関連の割合(2026年・年初来)
米ベンチャー投資のAI関連比率(2026年・年初来) 約87% AI関連
AI関連 約87%  その他 約13%。出典:Apollo「Mag 7 starting to underperform」チャート集(2026年6月、原出典はGoldman Sachs・JP Morgan・Bloomberg・Crunchbase等)。資金の集中を示すものであり、AI関連投資の成果を保証するものではない。

一方で、「経済全体化」はまだ入り口だと示す数字もあります。法人カードや請求書の決済データから企業のAI支出を集計したRamp AI Indexによると、2026年6月時点の従業員1人あたり月間AI支出は、支出上位1%の企業で7,449ドルに達する一方、上位10%では611ドル、中央値の企業ではわずか11ドルです(Apolloチャート集より)。なおこの統計は、経費決済サービスRampを利用する企業を母集団に、AIサービスのサブスクリプションやAPI利用料などを合算したもので、米国企業全体の平均そのものではない点は差し引いてください。それでも、先頭集団と真ん中の企業の差が数百倍という構図は示唆的です。これを「伸びしろが大きい」と読むか、「普及には想定より時間がかかる」と読むかは、まさに2026年後半の分かれ目です。

力②:産業ルネサンス──工場・データセンター・電力への波及

2つ目の力は、AIの恩恵がテック業界の外へ波及していく産業ルネサンス(産業の再興)です。スロック氏は以前からこのテーマを追っており、Apollo Academyのレポート(2025年10月時点。半年以上前の集計であり、最新の規模は変わり得ます)では、2023年半ば以降に完成した工場が200近く、建設パイプラインは5,900億ドル規模(50億ドル超のメガプロジェクトが牽引)と整理しています。半導体や防衛など戦略物資の生産を国内に戻す動き(リショアリング)が、米国とヨーロッパで同時に進んでいるという見立てです。

産業ルネサンスの波及先(Apolloの整理をもとに図式化)
半導体・製造業工場建設ラッシュと国内回帰
データセンター金利上昇下でも建設が拡大
電力・インフラ電源・送電網への投資需要
雇用・不動産産業用不動産や地域雇用へ波及
Apolloの公表資料にもとづく波及経路の整理。波及の規模やスピードは未確定であり、実現を保証するものではない。

Apolloのチャート集で興味深いのは、金利への感応度の違いです。FRB(米連邦準備制度理事会)が利上げを始めて以降、オフィスビル建設が冷え込んだのに対し、データセンター建設は高金利下でも力強い成長を続けている──つまりAIインフラ需要は、通常の不動産サイクルとは別のエンジンで動いてきた、という観察です。もっともこれは過去数年の実績にもとづく話で、電力の確保や資金調達コスト次第で今後の建設ペースが変わる可能性は残ります。米国のデータセンターは既存施設に加えて「発表済み・建設中」の案件が積み上がっており、この建設需要が電力・資材・雇用に広がっていく経路は、データセンターと電力問題の記事で扱った「AIの制約は電力」という論点ともつながります。

またApolloの集計(2026年6月時点・銘柄の分類は同社資料による)では、半導体関連はいまやS&P 500の時価総額の約2割(19%)を占めるまでになりました。半導体産業の基礎を押さえている読者なら、「AI相場の主役がソフトウェアの看板企業から、チップと電力という土台側に移っている」という地殻変動として読めるはずです。

力③:「政策の支え」の中身を点検する──追い風は財政、金融は据え置き

3つ目の力は「政府の政策が成長を追加的に支えている」というものです。ここは中身の点検が大切です。「政策の追い風」と聞くと利下げを連想しがちですが、2026年7月時点の現実は少し違います。

まず金融政策。FRBは2026年6月17日のFOMC(連邦公開市場委員会)で、政策金利を3.50〜3.75%で据え置きました。声明は「経済活動は高い不確実性にもかかわらず堅調に拡大している」としつつ、「インフレ率は2%目標に比べて高止まりしている」と明記しています。さらにCNBCの報道によると、FOMC参加者の政策金利見通し(中央値)は2026年末で3.8%と、3月時点の3.4%から引き上げられました。つまり現時点で起きているのは利下げ期待の後退であり、金融政策を「追い風」と言い切ることはできません。米国の金利が投資に与える影響の基本を思い出しながら、7月末のFOMCとインフレ指標を確認していく局面です。

では、スロック氏の言う「政策の支え」とは何か。文脈から読み取れるのは財政政策と通商環境です。減税や産業政策といった財政による刺激は米国経済の推進力の一つに挙げられており、加えてスロック氏は6月29日のDaily Sparkで、①貿易政策の不確実性が急速に低下していること、②中東情勢で注目されたホルムズ海峡の通航が回復しつつあることを挙げ、「企業の事業計画と採用にとって強気材料」と整理しています。

政策・環境の追い風財政による下支え/貿易政策の不確実性が低下/ホルムズ海峡の通航回復(Apollo・6月29日)
逆風・点検ポイントインフレは2%目標を上回る/FRBは据え置き・年末の金利見通しは上方修正/関税・地政学の変転
「3つ目の力」の中身の整理(2026年7月6日時点)。政策環境は変わりやすく、今後のFOMC・物価指標しだいで評価は変わり得る。

まとめると、3つ目の力は「利下げの追い風」ではなく、財政と通商環境の改善が、引き締め気味の金融政策を相殺できるかという綱引きとして見るのが、2026年7月時点では正確です。

そして「Mag 7の出遅れ」──AI相場の主役交代を数字で見る

3つの力の見取り図を手に、冒頭の「ねじれ」に戻りましょう。2026年前半の実際の市場では、株価の上昇はMag 7ではない場所に広がりました。数字で確認します。

対象2026年・年初来の騰落率データ時点
Mag 7(CNBCマグニフィセント・セブン指数)−3.4%6月末
フィラデルフィア半導体株指数(SOX)+90%前後6月末
S&P 493(S&P 500からMag 7を除く493社)+10%前後6月9日
エネルギーセクター+30%前後6月9日
テクノロジーセクター+28%前後6月9日

⚠️ 出典はCNBC・Yahoo Finance(2026年6月30日)およびOpening Bell Daily(2026年6月9日)。データ時点が行ごとに異なる点に注意してください。株価・指数は常に変動しており、最新値はYahoo!ファイナンスなどでご確認ください。本表は市場動向の解説であり、特定の銘柄・セクターへの投資を推奨するものではありません。

とくに6月は象徴的でした。報道によると、Mag 7の時価総額は6月のひと月で合計約2.3兆ドル減少し、CNBCのMag 7指数は月間で10%下落。個別では、マイクロソフトが月間で約20%安、エヌビディアが約13%安、アップルとアマゾンがそれぞれ約8%安でした(いずれも2026年6月30日時点の報道ベース)。背景として報じられたのは、巨額のAI投資がいつ・どれだけの利益として回収されるのかへの不安です。一方で同じ6月、半導体株指数は約6%上昇──「AIにお金を出す側」の株が売られ、「AIインフラを供給する側」の株が買われるという対照が鮮明でした。ちなみにMag 7指数は6月上旬までは年初来プラス圏でした(前掲のOpening Bell Daily集計)。ひと月足らずでプラスからマイナスへ転落するほど、下旬の調整が大きかったということです。

Apolloのチャート集は、この主役交代をバリュエーション(株価の割高・割安の評価)の面から裏づけています。いわく、Mag 7の予想PER(株価収益率)のS&P 493に対するプレミアム(上乗せ幅)は10年超ぶりの低水準まで縮小し、両グループの増益率も2026〜2027年にかけて収れんしていく見通し。「Mag 7が他の493社を圧倒的に上回る利益成長を続けるから、割高でも買われる」という過去10年の前提が崩れつつあり、市場はクオリティとフリーキャッシュフロー(自由に使える現金創出力)を基準に資金を再配分し始めた、というのがスロック氏らの整理です。6月28日のDaily Sparkでは、この構図を「グロース(成長株)よりバリュー(割安株)を支える材料が積み上がっている」とも表現しています。

ただし、「出遅れ」を「凋落」と混同しないための視点も添えます。次のグラフは、Apolloのチャート集にある比較──エヌビディア1社の時価総額と、主要国の株式市場全体の規模です。巨大企業1社の値動きが、株価指数ひいては世界の投資家全体にどれほど影響するか、その「規模感」をつかむための図です。

エヌビディアの時価総額と主要国の株式市場規模(2026年6月時点) 4.7 8.7 4.4 3.9 3.5 3.0 1.2 エヌビディア 日本 カナダ 英国 フランス ドイツ イタリア 単位:兆ドル(エヌビディアは1社の時価総額、各国は株式市場全体の規模)
出典:Apollo「Mag 7 starting to underperform」チャート集(2026年6月、原出典はBloomberg)。企業1社と国の市場全体という異なる物差しの比較であり、規模感の把握のための参考図。時価総額の大きさは今後の株価上昇を意味しない。

年初来で出遅れてもなお、エヌビディア1社で日本の株式市場全体の半分超、英国やフランスの市場全体を上回る規模です。S&P 500では上位10社だけで指数の42%を占めており(Apolloチャート集、2026年6月時点)、株価指数の仕組み上、Mag 7の動向は引き続き指数投資家全員の問題であり続けます。「出遅れ」とは、巨人が小さくなったことではなく、巨人以外が追いついてきたことなのです。

投資家として、どう読む?

「3つの力」とMag 7の出遅れを、強気・慎重の両面から整理します。その前に、ニュースの見出しから生まれやすい3つの誤解を先にほどいておきましょう。

見出しから生まれやすい3つの誤解
Mag 7下落=AI終了?資金の行き先が変わった可能性。半導体・電力側は上昇した
半導体9割高=買いサイン?過去の上昇は将来を保証しない。期待先行の反動もありうる
政策の支え=利下げ?実際の中身は財政・通商が中心。FRBは据え置き中
本記事による整理。いずれも「そう単純ではない」という注意喚起であり、逆方向の断定でもない。

そのうえで、強気・慎重の両論です。どちらか一方が正しいと決まっているわけではありません。

強気に読むなら相場の裾野拡大を健全化と評価する見方。AI投資は実体経済(工場・電力・雇用)に波及し、貿易不確実性の低下も好材料。企業のAI支出の中央値が月11ドルという浸透率の低さは、逆に言えば伸びしろとも読める
慎重に読むなら6月の2.3兆ドル下落の原因=AI投資の回収不安は未解決。インフレは2%超えでFRBの金利見通しは上方修正。半導体株の年初来9割高には期待先行の反動リスクもある
本記事の整理による両論。今後の展望は「予測」ではなく「見るべき観点」として提示している。

強気に読むなら──2026年前半の主役交代は、AI相場が「7銘柄への一点賭け」から「経済全体のテーマ」へ成熟していく過程だ、という解釈になります。S&P 493や半導体・エネルギーへの広がりは、指数が少数の銘柄に依存する集中リスクをむしろ和らげる方向です。産業ルネサンスの5,900億ドル規模の建設パイプラインのような実物投資は、株価より遅れて実体経済の数字(雇用・生産)に表れてくる可能性があります。

慎重に読むなら──釘を3本刺しておきます。第一に、期待先行のリスク。半導体株指数の年初来9割高は、供給不足とメモリー価格の上昇という現実に支えられているとはいえ、期待が現実を追い越せば反動も大きくなります。AIインフラにはデータセンター計画の見直し・キャンセルという逆風の芽も観測されています。第二に、テーマと個別企業の利益は別物。「AIの経済全体化」が本当でも、そこから利益を出せる企業と出せない企業に分かれます。企業のAI支出の中央値が月11ドルという数字は、「AIでお金を稼ぐ」の手前で足踏みしている企業が多数派だという現実も映しています。第三に、金融政策は味方と決まっていない。インフレが2%目標を上回り続ける限り、「政策の支え」の綱引きは財政側の勝ちが保証されません。7月28〜29日のFOMCと、その前後の物価指標が最初の関門です。

そのうえで、2026年後半に確認していきたい観点を3つ挙げます。売買のシグナルではなく、ニュースを整理する棚としての3点です。

  1. AI投資の「回収」の証拠:7月から始まる4〜6月期決算で、巨額の設備投資に見合う売上・利益の伸びを各社が示せるか。具体的には、設備投資額の計画・クラウド部門の売上の伸び・フリーキャッシュフローの3点セットです。市場が納得しなければ、6月の調整に第2幕がある可能性も意識されます。
  2. 裾野の広がりの持続性:S&P 493の増益率がApolloの見通しどおりMag 7に収れんしていくか。equal-weight(均等加重)指数が時価総額加重に負けない状態が続くかは、分かりやすい観測点です。
  3. 政策の綱引きの行方:インフレ指標とFOMC(7月末・9月・10月)。「財政の追い風」対「金融の向かい風」のバランスが崩れる方向が、株式・債券の両方の値動きを左右します。

フクリの見方

わたしなりに、この半期総括から持ち帰りたいポイントを3つにまとめます。

  1. ニュースを読むときは、Mag 7の外側までセットで見るのがわたしの整理です。値動きより理由を理解する、が口ぐせですが、2026年前半の理由は比較的はっきりしていて、市場は「AIにお金を出す側」より「AIの土台を供給する側と、AIで生産性が上がる側」を評価し始めたように見えます。AIと投資の基礎を土台に、この構造変化を押さえておくと後半のニュースが読みやすくなります。
  2. 裾野が広がる相場では、分散の考え方が思い出される場面です。恩恵の受け皿が半導体・電力・製造業・エネルギーと広がっているとしても、どの受け皿が本命かは誰にも分かりません。一般に、こうした局面では特定のテーマや銘柄への集中リスクを抑える分散投資の考え方が紹介されます。売買をおすすめする話ではなく、リスク管理の発想として押さえておきたいところです。
  3. 見通しは「地図」として使い、「予言」として使わない。スロック氏の3つの力は2026年後半を整理する優れた地図ですが、地図の作り手にも立ち位置があり、現実は関税・中東・インフレ次第で書き換わります。地図は複数持ち、数字の出典と時点を確かめる──この習慣がいちばんの防具です。

まとめ

  • Apolloのスロック氏が2026年中間見通しを公表(6月25日)。「AIの経済全体化」「産業ルネサンス」「政策の支え」の3つの力が後半の市場を動かすという整理を示した
  • ただし「政策の支え」の中身は財政と通商環境の改善で、金融政策はFRBが3.50〜3.75%で据え置き・年末見通しは上方修正と、追い風とは言い切れない綱引きの状態
  • 市場ではMag 7が6月に約2.3兆ドルの時価総額を失い年初来マイナス圏に沈む一方、半導体指数は年初来9割前後高、S&P 493も堅調──株価の上昇が7銘柄の外へ広がっている
  • 2026年後半の観測点は、①4〜6月期決算でのAI投資回収の証拠、②裾野拡大の持続性、③財政対金融の政策の綱引き、の3つ

情報源

免責事項

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の投資勧誘や投資助言を行うものではありません。投資にともなう最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。記載内容の正確性には努めていますが、その完全性・将来の結果を保証するものではありません。

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